(株)アーバンコーポレイション(広島市中区上八丁堀4−1、設立昭和38年6月、資本金265億6382万円、房園博行社長、従業員342名)は、8月13日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債総額は2558億3200万円。
同社は、分譲マンションの企画・販売代理を目的に、平成2年5月旧:(株)アーバンコーポレイションを設立し、同7年に株式の額面金額を変更するため別会社(昭和38年6月設立)を存続会社として吸収合併を行い、現:(株)アーバンコーポレイションに商号変更したもの。広島地区を中心としたマンションの販売代理からスタートし、その後自社開発物件の分譲マンション「アーバンビュー」シリーズで実績をあげてきた。
平成8年9月に株式を店頭公開、同12年に東証2部上場、同14年に東証1部へと指定替えとなり、この間大阪、東京に本格進出した。また、同16年3月には中、四国地区で最高層を誇る複合施設「アーバンビューグランドタワー」(地上43階、高さ166メートル)を竣工させたことでも話題となった。最近は首都圏の物件を対象とした不動産流動化事業、不動産ファンドの組成によるアセットマネジメントなどを事業の中心として積極的に展開。都心の地価高騰によるミニバブル化も追い風となり、グループとしても売上の約7割が不動産流動化事業に係るもので業績を大幅に伸長させ、同20年3月期には年商1324億7200万円を計上、555億5200万円の経常利益をあげていた(単体ベース)。
ところが平成19年後半以降、サブプライムローン問題を発端とする金融市場の混乱などから都市部を中心とした不動産市況が急激に悪化、これに伴う金融機関の不動産向け融資厳格化、不動産投資ファンド市場の急激な収縮の動きもあり、業績の不透明感が増していた。このため、物件売却を優先し金融機関への債務返済原資の確保を目的とした事業計画への転換を進めるとともに、6月には外資系金融機関を割当先とする合計300億円の新株予約権付社債の発行を決議するなど資金調達策を講じていた。しかし、7月に創業者で筆頭株主でもあった房園社長が保有し金融機関に担保提供していた自社株式が、株価下落に伴い担保権行使により売却され、株価がストップ安に見舞われる事態が発生。ここ数カ月は株価下落に歯止めがかからず、資金繰りも苦しい状態が続いた。
りんかい日産建設(株)(港区芝2−3−8、設立昭和11年1月、資本金70億5500万円、北川克弘社長、従業員722名)は、8月29日東京地裁に会社更生手続開始を申し立てた。申立代理人は那須克巳弁護士(中央区日本橋本町3−3−4、那須・本間法律事務所、電話03−3516−2281)。保全管理人には内田実弁護士(港区虎ノ門1−16−4、虎ノ門南法律事務所、電話03−3502−6294)が選任された。負債総額は629億8300万円。
同社は、大正15年5月に臨海土木工業所として個人創業、昭和11年1月に(株)臨海土木工業所として法人化された。創業当時より港湾工事、干拓工事など海洋土木を得意とし順次業績を拡大。同54年1月には社名をりんかい建設(株)に変更、同61年には関西新国際空港工事を受注するなど実績を誇り、老舗マリコン(海洋土木工事業者)として知名度を有していた。
その後、平成15年7月には同14年3月30日に会社更生手続開始を申し立てた日産建設(株)(当時東証1部)のスポンサーとなり同社を吸収合併、これにより陸上土木や建築工事にも進出し、合併後の同16年3月期には年商926億1800万円を計上していた。以降は、公共工事削減で主力の港湾工事が落ち込んでいたものの、近年はマンション受注などを積極的に獲得、同20年3月期には年商805億6700万円に回復していた。
しかし、サブプライムローン問題に端を発した金融機関の審査厳格化の影響から事業環境が急変、急激な信用収縮の結果、SPCを利用した不動産流動化事業の買受先からの契約延期で同20年6月までの3ヶ月間で約80億円の立替払いが発生。さらに、6月に(株)ケイ・エス・シー(東京都)に6億9100万円、(株)NANBU(東京都)に3億1800万円の焦付が発生して資金繰りが急速に悪化。8月末の債務支払いが困難となり今回の事態となった。
セボン(株)(新宿区西新宿1−23−7、設立昭和49年11月、資本金10億3000万円、山崎喜久男社長、従業員266名)と関連会社の(株)バニラ(調布市小島町2−45−2、設立平成17年6月、資本金1億円、内村隆志社長、従業員11名)は、8月25日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員は加茂善仁弁護士(中央区八重洲2−8−7、加茂法律事務所、電話03−3275−3031)。負債総額はセボン(株)が621億4100万円、(株)バニラが163億6900万円。
セボン(株)は昭和49年11月食品販売を目的に大伸フード(株)として法人化、同59年不動産売買・賃貸を主業に事業転換した。平成7年「セボン」ブランドを商標登録後、ファミリーマンションの分譲を開始。同8年にはタウンハウスの分譲も開始し、同12年11月現商号に社名変更した。戸建・マンション分譲は都内城西地区を中心に三多摩地域で事業を展開。不動産市況拡大の波に乗り順調に増収増益を続け、同18年9月にはジャスダック上場の旭ホームズ(株)の株式を取得して連結子会社化するなど、同19年5月期には過去最高の年商863億2500万円、最終利益62億円を計上していた。
しかし、平成20年4月以降に複数の大型物件で、売却決済間際に決済時期延伸及び解約になる事態が相次ぎ、急速に財務状況が悪化。また、子会社の(株)バニラ(調布市)に対し73億5635万円(5月末までの貸付残高)の貸付を行ったため、銀行、ノンバンク等借入先14社に対し21億5700万円(元本残債計)の返済が滞った。このため、新たな借入及び既存の借入金の一部に関して弁済が困難な状況となり、継続企業の前提に重要な疑義(ゴーイングコンサーン注記)が生じていた。
また、ここにきて不動産市況悪化により売上が急減、平成20年5月期年商は588億円に留まり、加えて子会社の(株)バニラに対する貸付金回収不能を見込んで33億1161万円の貸倒引当金計上などにより40億9317万円の特別損失を計上、26億円の最終赤字となり、信用不安が広がっていた。8月に入り大型案件の早期売却活動の強化、一般管理費削減、(株)バニラの資金的独立などの諸策で建て直しを図ったものの、月末の資金調達ができず今回の申立となった。
創建ホームズ(株)(杉並区荻窪2−32−8、登記面:杉並区南荻窪1−43−15、設立平成6年1月、資本金26億3932万円、丸本吉紀社長、従業員202名)は、8月26日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には河野玄逸弁護士(港区赤坂2−17−22、河野法律事務所、電話03−3582−0621)が選任されている。負債総額は338億8900万円。
同社は平成6年1月に設立した不動産業者で、同15年2月にJASDAQ市場に上場し、同18年2月東証1部へ上場。東京城西・城南・横浜地区及び埼玉南部地区でのニューリッチ層を対象とする「WEL FARE(ウェルフェア)」シリーズで新築戸建分譲開発を主力とするほか、マンション分譲やアセットマネジメント事業を展開。好調な住宅需要の追い風に乗って業況を拡大、同20年2月期の年商は約402億5600万円を計上していた。
しかし、昨夏以降、米国サブプライムローン問題などに端を発する金融情勢の変化により経営環境が悪化。さらに、住宅市場でも住宅価格の上昇で消費者の住宅購買意欲が減退したほか、改正建築基準法の施行による建築確認申請手続の停滞によって事業化が遅れるなどの影響で販売活動が苦戦を強いられていた。
この間、販売価格の見直しや棚卸資産の早期処分などで事業立て直しを図っていたが、今期に入り不動産市況の悪化に伴い、金融機関からの新規借入や借換えが一層困難となったうえ、住宅販売停滞に伴う金利負担の増加や値引き販売による利益率低下で資金繰りが逼迫した。
(株)志多組(宮崎市高千穂通1−4−30、設立昭和19年5月3日、資本金4億5000万円、志多宏彦社長)は、8月8日東京地裁に民事再生手続開始を申し立て、同日監督命令が下りた。監督委員は長島良成弁護士(東京都千代田区五番5−5、長島良成法律事務所、電話03−5276−1321)が選任された。債権者約1100名に対し負債総額は278億2800万円。
同社は、昭和6年9月に創業した宮崎県内完工高トップの総合建設会社。同19年に(株)志多高田組を設立、同25年高田組との合併を解消し(株)志多組に変更。同33年福岡、鹿児島、同36年大分、同39年熊本に支店を開設し業容を拡大、同63年には東京支店を開設した。平成6年に宮崎県立芸術劇場、同8年にフェニックスリゾートシーガイアを施工するなどで建築業協会表彰を受賞。同年には当時の社長で現会長の志多孝彦氏が九州建設業協会々長に就任するなど、名実共に宮崎県を代表する総合建設会社に成長していた。
また、同17年11月マンション分譲会社のヒューザー(東京)が発注、志多組が施工した「グランドステージ稲城」の耐震偽装が発覚したが、国土交通省などの調査の結果、志多組に責任はないとの結論で事なきを得た。その後は東京を中心とした首都圏での建築市況が活発に推移、ミニバブル的な様相を呈し同地区での完工高が増大、同19年6月期は東京支店だけで187億円を竣工するなど完工高は過去最高となる378億6700万円を計上していた。
しかし、宮崎県内では関連会社に20億円を貸し付けて開発した分譲地「北宮崎ニュータウン湘桜台(しょうおうだい)」(157区画)の売れ行きが鈍かったうえに、グループ企業に総額30億円の貸付金があったほか、マンション建築の工事代金の回収が長期化することで運転資金の需要が急増していた。
こうした中、平成20年6月(株)青木不動産(東京都、破産)に約4億円、(株)ケイ・エス・シー(東京都、破産)に約15億円もの不良債権が発生したことで信用不安が流れ、一部取引業者の撤退や支払条件の変更を強いられていた。この焦付補てん分を含め取引金融機関に支援を要請するなど善後策を検討したものの、資金調達が不調に終わり今後の資金繰りのメドがたたなくなったため、民事再生法による経営再建の道を選択した。
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