相互タクシー(株)(勝山市片瀬58−1−3門前町25番店舗、設立大正14年9月28日、資本金6億2007万円、多田精一社長)は、3月14日福井地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人は宮本健治弁護士(福井市春山1-8-2、電話0776-27-7752)。負債総額は債権者16名に対して約240億8400万円。
同社は、大正14年9月に大正相互タクシー(株)を設立したのがはじまり。その後、別途大阪相互タクシー(株)を設立してタクシー部門を分離し、同社は現商号に変更し投資・不動産管理会社となる。昭和63年1月には大阪市城東区から勝山市に移転した。
相互タクシーグループを形成し、同社はグループ各社の不動産管理及び投資業務を主体として運営されていたが、グループ会社の相互不動産(株)が前代表の多田清氏の出身地である勝山市に「越前大仏」をはじめ「勝山城」やホテルなどの建設に多額の投資を行った。
当初は全国的にも知名度を高め観光拠点化していたが、バブル崩壊後は急速に客足が減少し、これら施設は次々と経営不振に陥り多額の負債を抱える結果となり、平成19年3月期決算時点での債務超過額は220億円に膨張していた。この間、相互不動産(株)は解散して「越前大仏」を宗教法人化したり、ホテル他の施設も閉鎖するなどで対応してきたが、平成17年には多額の延滞法人税滞納から本社事務所も公売にかけられるなど厳しい経営が続いていた。最近は殆ど営業実態のないまま結局法的手続に委ねることとなった。
尚、県内倒産としては、平成15年10月の(株)武生カントリークラブの115億円を抜いて、過去最大規模の負債総額となった。
(株)グラウンズ(北見市端野町二区829、登記上本社:港区赤坂7−6−47、設立昭和62年9月、資本金3000万円、勝田栄緒社長)は、3月17日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は田邊勝己弁護士(千代田区麹町1−6−9、電話03−3511−8550)ほか。監督委員には山川萬次郎弁護士(千代田区麹町3−2、電話03−3239−0631)が選任された。負債総額は約232億円。
同社は、昭和62年9月に新宿区で設立されたリゾート施設の運営業者。平成1年に北見市端野町に端野メビウススキー場をオープン、さらに同3年には隣接地に「グランクリユゴルフクラブ(18ホール)」と「ホテルメビウス」をオープンさせて事業拡大を図り、ピーク時には8億円あまりの売上高を計上していた。
地元はもとより本州方面の利用客の獲得を狙ったものの、バブル経済の崩壊から思うように集客ができずに当初の計画がとん挫。当初から業績低迷が続いたことで資金繰りは悪化し、所有不動産が競売にかけられるなど、厳しい経営状況が続いていた。尚、今後はスポンサーのもとで再建を進める計画である。
アエル(株)(中央区八重洲1−5−3、設立昭和44年6月、資本金50億円、ウィルフレッドワイホリエ社長、従業員569名)は、3月24日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は田淵智久弁護士(港区赤坂2−17−22、末吉綜合法律事務所、電話03−5574−7402)。監督委員には今井健夫弁護士(新宿区新宿1−8−5、三宅・今井・池田法律事務所、電話03−3356−5251)が選任された。負債総額は約231億円。
同社は昭和44年6月に設立され、旧商号:日立信販(株)として事業拡大し、平成13年7月に現商号に変更していた。同15年9月30日に会社更生法の適用を受け、米国投資会社のローンスターがスポンサーにつき、同社が運営するファンドの支援を受け、同19年8月には更生手続を終結していた。
会社更生手続適用前の平成15年までには関東を中心に全国に店舗展開を行い、フリーローンを中心にピーク時の平成10年3月期は営業収益611億円を計上していた。しかし、メインバンクであった東京相和銀行や主要借入先の東邦生命が、同11年6月に経営破たん。このため資金調達が厳しくなったうえに信用不安が広がり、さらに同12年6月に改正出資法による法定上限金利引下の影響を受け営業貸付金が伸び悩み、同15年9月に負債820億円を抱え関連会社(株)ナイスと共に会社更生手続開始を申し立てた。
ローンスターの運営するファンドで資金支援とフィナンシャルアドバイスを受けてきたが、その後も業法改正・自主規制などにより業界環境は厳しく、特に貸出債権に対する過払金返還訴訟が相次ぎ、金融機関からの資金調達も難しくなり、資金繰り悪化に伴い今回の申立となった。
平成19年12月20日に債権者から会社更生手続開始を申し立てられていた平和観光(株)(大阪市中央区南本町4−2−10、永井政一社長)は、3月19日大阪地裁から同手続開始決定を受けた。債権届出期限は7月14日、更生計画案提出期限は平成21年2月27日。
申立書による負債は、金融債権59億円、ゴルフ場の会員(約2800名)の預託金債権84億円の総額約143億円。これに対して資産は担保設定されているゴルフ場の土地建物のほか、(株)ジェイアンドピーゴルフクラブ(ゴルフ場運営委託、営業譲渡担保契約先)の譲渡されているゴルフ場事業のみで、他に目ぼしい資産は無い状態。
同社は、過去に奈良市(当時:奈良県山辺郡都祁村)にて「J&Pカントリー倶楽部」(27ホール・パー108)の名称でゴルフ場を経営し、年商約10億円を計上していた。同ゴルフ場は大阪市内からのアクセスもよかったが、近年は市況悪化から減収傾向が続いていた。その後ゴルフ場の運営を他社に移管していたが、ここにきて債権者から会社更生手続開始を申し立てられていた。今後は、ゴルフ場運営委託先の(株)ジェイアンドピーゴルフクラブに対する事業譲渡契約を否認してゴルフ場事業を同社に復帰させ、公正な方法でスポンサーを募り更生計画を立案したいとしている。
大証ヘラクレス上場企業の(株)レイコフ(大阪市中央区瓦町3−5−7、設立平成13年8月、資本金21億8884万円、小川哲男社長、従業員39名)と関連会社2社は、3月20日大阪地裁へ民事再生手続開始を申し立て、同日保全命令を受けた。申立代理人は池田裕彦弁護士(大阪市北区堂島1−1−5、弁護士法人大江橋法律事務所、電話06−6341−740)、監督委員は石井教文弁護士(大阪市北区堂島浜1−2−6、大阪西総合法律事務所、電話06−6344−1550)。負債総額の内訳は(株)レイコフが107億7505万円、(株)レイコフインベストメント225億5503万円、(株)ホスピタリティインベストメントが92億9971万円。
(株)レイコフは、平成1年1月不動産の鑑定・調査業務を目的に創業。同13年8月子会社の経営指導、監理を担う純粋持株会社として設立。連結子会社13社でグループを形成し、コアとなる不動産の鑑定・調査のほか、不動産媒介、コンサルティング、不動産投資ファンドの組成・運営、賃貸用収益物件の取得・売却・管理などを行い、同17年5月大阪証券取引所ヘラクレス市場に株式上場を果たした。
平成19年8月期の同社単体での年商は9億5400万円に留まるが、不動産投資ファンド事業にて中小賃貸マンションからオフィスビル、商業ビルなどへ対象物件を広げ、グループで業容を年々拡大、同期決算でのグループ連結売上高は239億1200万円を計上していた。
今期に入っても住居ファンド物件の取得推進で業容の拡大を見込んでいたが、その一方で積極的な不動産取得などにより借入金が増大していたところ、サブプライムローン問題に端を発する金融市況・不動産市況の悪化に伴い資金調達環境が悪化。収益物件として取得した物件に関しても市況悪化により取得価格以上での売却が不可能な状態に陥っていた。2月にはMSワラントによる新規の資金調達も予定していたが計画は延期となり、資金調達難から今回の措置となった。
また関連会社で不動産投資事業を手掛ける(株)レイコフインベストメント(本社同所、設立平成13年12月、資本金9900万円、同社長、従業員12名)及びホテル・ゴルフ場等の不動産所有・賃貸業を手掛ける(株)ホスピタリティインベストメント(大阪市中央区瓦町4−3−7、設立平成18年2月、資本金1000万円、同社長)も親会社と共に同様の手続きを進めることとなった。
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