(株)ゼファー(中央区日本橋浜町3−3−2、設立平成6年2月、資本金134億4337万円、飯岡隆夫社長、従業員198名)は、7月18日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には瀬戸英雄弁護士(千代田区九段北4−1−3、LM法律事務所、電話03−3239−3100)が選任された。負債総額は949億4800万円。
同社は平成6年2月に設立、ゼファーシリーズのマンション、一戸建住宅の開発事業を展開していた。同13年4月にCM事業部を立ち上げ建設事業に参入、同14年2月からは不動産流動化事業にも本格参入し業容を拡大させて、同19年3月期には1099億600万円(単体)を計上した。また、最近はアウトレットモールの開発事業にも参入し、7月17日には共同開発で進めていた那須ガーデンアウトレット(那須塩原市)をオープンさせたばかりだった。
しかし不動産市況の急激な悪化から、5月30日に連結子会社の近藤産業(株)が破産手続開始を申し立てたことで、貸付金や債務保証の差し入れ等の債権約118億8100万円が不良債権化した。さらに6月11日には平成20年3月期の決算を訂正し、同期で関係会社整理損142億6400万円を計上して自己資本を大きく毀損することとなり信用不安が広がっていた。加えて金融機関の不動産投資案件への審査厳格化に伴い、物件の売却予定先に資金が付かない事態等に見舞われるなど、物件の売却が予定通り進まず資金繰りが逼迫していた。
このため、資本提携先の筆頭株主:SBIホールディングス(株)(東京都港区、東証1部)のグループ会社から120億円の融資を受けて凌ぐほか、不動産等の資産売却や他の資金調達を模索していたが、7月末までに必要な資金を調達する目処が立たず今回の措置となった。
(株)オークス(那覇市松山2−3−10、設立昭和47年5月、資本金4億3981万円、新里久社長、従業員111名)は、7月14日阿波連光弁護士(那覇市前島2−9−13、ひかり法律事務所、電話098−941−0660)を代理人として那覇地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債総額は県内過去最大の485億円。
同社は昭和47年5月設立、クレジットカード事業を主体に信用保証業、消費者ローン、損害保険代理業などを手掛け、会員数約24万人、加盟店舗2万4千店舗など高いシェアを維持し、県内最大のクレジット会社として知名度を有していた。ピーク時の平成4年3月期の売上高は106億円、利益は1億7100万円を計上していたが、バブル崩壊後は景気低迷などから減収傾向が続き、同17年3月期の売上高は51億6610万円で、利益も2852万円まで落ち込んだ。
この間、経営改善計画を実施したが、平成18年12月に公布された貸金業法等の改正に伴い一段と厳しい環境のなか、過払金返還請求引当金の大幅な増加に加え、利息制限法内への金利引下げ、総量規制による融資額の低下などから同20年3月期の売上高は48億8649万円に対して185億円の欠損を出し、同期3月末時点で172億円の債務超過に陥っていた。このため、取引先金融機関へ債務免除を要請する一方、大手同業者との資本提携を中核とした「事業再建計画」を策定し、私的整理による財務改善を進めていたが、スポンサーや金融機関の合意を得られずに今回の措置をとった。
なお、加盟店のクレジット利用代金、商品券利用代金の立替払いについては、従来通り支払うこととし、カードキャッシング、ローンカード、証書貸付、個品割賦、ポイント交換サービス、商品券の販売は当面停止する。
真柄建設(株)(金沢市彦三町1−13−43、設立昭和18年6月、資本金69億3215万円、奥村弘一社長、従業員538名)は、7月5日大阪地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員は浦田和栄弁護士(大阪市中央区北浜2−5−23、電話06−6231−3210)。負債総額は県内過去最大の348億円。
同社は明治40年に土木建築請負業「真柄組」として創業、昭和18年6月に(株)真柄組を設立。同37年9月に現商号に変更、同38年1月大証2部に上場を果たし、その後の同47年に東証、大証、名証各1部に指定された。マンション、商業施設など大型物件を中心に手掛け、特に西日本地区に強い営業地盤を有して全国に業容を拡大し、平成8年3月期には1182億円台の売上高を計上していた。
しかし、バブル景気が弾けた影響が出始め、全国的に公共工事の削減が強まる環境下から徐々に業績は悪化、平成15年3月期では864億円台にまで売上高が減少し、同期で3期連続の赤字決算となり純資産18億円弱にまで縮小し累積赤字を抱えた。同17年3月期には727億円にまで売上高が落ち込み、減損会計などで損失処理を進め各金融機関から合計120億円の優先株を発行し急場を凌いだ。
その後、「中期経営改善計画」を発表し経営再建を進めていたが、最終年度の平成19年12月に大阪支店での不正会計処理が発覚した。そのため同社株式は「監理ポスト」に指定され、同17年〜19年3月期までの3期分の有価証券報告書を訂正し44億9000万円の損失処理を行った。そのしわ寄せから同20年3月期では売上高849億円、当期損失27億円5000万円とした。同20年5月、主力行から新社長を迎え、40億円程度の優先株を発行し資本増強化などを実施して経営再建を図ることを発表したが、同年6月末に民事再生手続開始を申し立てた(株)愛松建設(愛知県稲沢市、負債総額155億円)に多額の不良債権が発生する恐れが生じ、7月7日や10日の決済資金のメドが立たず今回の事態となった。
マツヤハウジング(株)(品川区南大井6−26−2、設立昭和51年4月、資本金14億9696万円、久保棟男社長、従業員102名)は、7月29日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には小林克典弁護士(千代田区麹町4−2−1、麹町パートナーズ法律事務所、電話03−3234−2941)が選任された。負債総額は279億円。
同社は昭和50年にマンション分譲事業を目的に松屋ハウジングとして創業、同51年に法人化されたマンション・ビル企画開発会社。都内城南・城東地区を中心に、新築マンションの開発・分譲事業を展開するマンションデベロッパーとして業容を拡大した。
平成16年2月には伊田テクノス(株)(埼玉県東松山市、JASDAQ上場)の出資を受け(現:持分法適用会社)、株式公開も視野に入れ財務基盤を強化。最近では「エム・ブランド」マンションの分譲事業を主体に、ファンド向け賃貸マンションなどの開発、ファンド組成などの不動産流動化事業及び不動産流通事業も行い、同19年3月期には年商233億5000万円を計上していた。
しかし、平成20年3月期には年商235億9800万円を計上したものの、急激なマンション需給の悪化や原材料価格上昇の影響を受け、販売経費が増加。借入金利負担も嵩み15億8900万円の最終赤字となっていた。新たな資金調達を模索していたが、資金繰りは好転せず今回の申立となった。
ダイドー住販(株)(大阪市中央区今橋2−5−8、設立平成11年1月、資本金3億5000万円、中村隆司社長、従業員49名)は、7月15日大阪地裁へ民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は吉田大地弁護士(大阪市北区西天満1−10−8、吉田大地法律事務所、電話06−6365−6038)。負債総額は248億円。
同社は不動産の流通・売買・資産運用コンサルティング、分譲マンションの企画・販売を手がける。近時は投資用不動産(事業用不動産・収益不動産)の販売やファンド事業に注力、中古物件の再生販売、収益物件の新築・販売事業にて急激に業容を拡大。平成19年3月期の年商は247億9530万円を計上していた。
しかし、サブプライムローン問題に端をなす不動産市況の急激な低迷により事業環境は急速に悪化。事業拡大に伴う運転資金を借入金で対応していたため、ここへ来て資金繰りは急速に逼迫。自力での再生は困難と判断し、法的手続による再建を選択した。
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