市津開発(株)(渋谷区千駄ヶ谷5−8−10、設立平成2年6月、資本金2000万円、岡山幸次郎代表)は7月20日、東京地裁より破産手続開始決定を受けた。負債は約452億8200万円。
同社は平成2年6月に中堅ゼネコン、旧・(株)フジタの100%出資子会社として設立された不動産開発会社。千葉県などが打ち出した千葉・市原丘陵新都市整備構想の一環として、市原市東北部の丘陵地帯に「市津緑の街」開発を計画、約170ヘクタールの土地に2000戸の分譲住宅を建設するほか、企業の研究施設などを誘致する予定だった。
ところが、バブル崩壊後の景気の冷え込みや地価下落に伴う東京への都心回帰の影響で需要が見込めず、当初予定されていた計画が頓挫、取得した山林は塩漬け状態となっていた。そうした中、平成14年10月に親会社の旧・フジタが会社分割方式により不動産部門を(株)ACリアルエステート(渋谷区)に分離、同社はACリアルエステートの子会社となったが、すでに98億1000万円の債務超過に陥っていた。
その後、今年に入り同地域の開発計画を正式に断念、所有する開発用地を市原市に無償譲渡することで合意に達していた。
ジャパンインベストメントサービス(株)(中央区京橋2−4−14、設立昭和61年9月、資本金2500万円、伊藤春彦社長)は6月21日、東京地裁に破産手続開始を申立て27日開始決定を受けた。負債は債権者約10名に対し約424億円。
同社は昭和61年9月に不動産業者の(株)三正(破産、負債約1400億円)の子会社として貸金業を目的に設立された。金銭貸付、債権買取などを手掛け、平成3年5月には十八銀行の大株主に名を連ねるなどで話題を集めた。しかし、貸付金の回収難などにより経営が悪化、平成9年頃には実質的に休業状態となっていた。現在、(株)三正、(株)ジャパンナックなど三正グループが破産手続を進めており、同社も破産による処理を行うことになった。
ニシキ産業(株)(大阪市天王寺区夕陽丘町4−20、設立昭和31年7月、資本金3000万円、渡邊英司社長、従業員14名)は6月23日、債権者の旧・森本組から大阪地裁に破産手続開始を申し立てられ7月21日開始決定を受けた。負債は約380億円。
同社は平成15年10月に民事再生手続開始を申し立てた旧・森本組(株)(大阪市、旧・大証1部)の連結子会社。不動産事業、土木工事、建設機械販売などを手掛け、平成12年3月期には年商64億9000万円をあげていた。
しかし、青森市浜田地区で手掛けていた不動産開発事業の不振で業績が悪化、15年3月期は年商13億3300万円に落ち込み、親会社の旧・森本組の支援下で事業を継続していた。そうした中、15年10月に旧・森本組が民事再生手続開始を申し立てたことで、同社は保有資産を処分、16年3月期は年商59億4600万円をあげたものの、不動産処分損で275億8000万円もの赤字を計上、325億7200万円の債務超過に陥った。
その後、昨年4月旧・森本組は大豊建設(株)(東証1部、東京都中央区)の子会社に営業を譲渡(現・森本組)、同社は整理する方向にあり今回の措置となった。
(株)グリーンポート(名取市愛島台6−1−1、設立平成1年8月、資本金5000万円、吉住敏彦社長)は6月30日開催の株主総会で解散を決議していたが、7月5日仙台地裁に特別清算手続開始を申し立てた。負債は債権者4社に対し361億6544万円。
同社は平成1年8月に大昭和製紙(株)〔現・日本製紙(株)〕や大手ゼネコンなど5社の出資を得て大昭和グリーンポート開発(株)の商号で設立され、7年4月現商号に変更した。「グリーンポート愛島(めでしま)」の開発を手掛け、計画では開発面積207.7ha、戸数約2000戸、人口約7000名とし、近隣には小学校、幼稚園、ショッピングセンターなどの建設も予定。本格的な営業開始は9年10月からで、ピーク時の11年3月期には年商16億4300万円をあげていた。
しかし、販売戸数は当初の計画を大きく下回り、11年3月期から14年3月期まで4期連続して10億円を超える赤字を計上、以後は赤字幅が減少するものの、赤字は連続していた。そうした中、15年6月に株主から多額の融資を得て金融機関への返済や当座の運転資金を確保、計画を大幅に下方修正して販売活動を継続してきた。だが、16年3月期は年商8900万円にまで落ち込み3億820万円の赤字となり、300億円を超える繰越欠損を抱えて事業継続は困難と判断、今年5月には実質的な販売業務を停止していた。
瀬戸タック(株)(香川県仲多摩郡琴南町中通129−1、設立昭和63年11月、資本金3000万円、木ノ本順社長、従業員10名)は7月29日、高松地裁に民事再生手続開始を申し立て8月2日保全命令を受けた。負債は約150億円。
同社は昭和63年11月に設立されたゴルフ場経営会社。平成5年4月に大規模隣地開発などの許可を受けゴルフ場開発に着手、7年秋に「瀬戸タックゴルフクラブ」(27ホール、パー108、10340ヤード)をオープンした。以後、来場者数を順調に伸ばし3年後の10年9月期には年商9億7000万円をあげていた。
しかし、その後は不況を反映して来場者数は減少、同業との競合から客単価も下落し業績は低下、対応策として13年4月に大手ゴルフ業者の私市グループ(大阪府)と提携して再建を目指すことになった。だが、昨年3月に私市グループは中核企業の私市ほか4社とともに整理回収機構(RCC)から会社更生手続開始を申し立てられるなどで同グループからの支援が期待できなくなった。
そうした中、16年9月期は年商4億2000万円にまで減少、コース管理の外注移管など経営改善を図ったものの思惑通りに進まず、今年9月に予定される預託金償還の資金メドも立たないため、自力再建を断念して民事再生法による再建を選択した。
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