平成電電(株)(渋谷区広尾1−1−39、設立平成2年7月、資本金16億8235万円、佐藤賢治社長、従業員1100名)は10月3日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立て同日保全命令を受けた。負債は約1200億円。
同社は平成2年7月の設立だが、休眠状態を経て実質的には平成8年3月に創業した通信サービス業者。通信業界の規制緩和を受けて「マイライン」に参入、中継電話サービス事業を手掛け、平成15年7月業界に先駆けて低価格を売り物にした直収電話サービスの「CHOKKA(チョッカ)」を提供。人気俳優を使ったテレビコマーシャルを大々的に流し、平成17年1月期には年商440億6000万円をあげていた。
また、今年8月にソフト開発のドリームテクノロジーズ(株)(大証ヘラクレス)を子会社化、11月からはドリーム社と協同して全国規模での高速・大容量の無線LAN事業に乗り出すとし、この間に平成電電システム匿名組合を窓口に一般投資家から出資を募るなどして資金を調達していた。
しかし、「CHOKKA」事業のために多額の設備投資を実施したにも関わらず、手続きが煩雑だったことや大手通信会社の参入に加えてNTTが固定電話の基本料金の値下げを行ったことから、「CHOKKA」契約者数の伸びが鈍化し計画を下回り、金融債務が経営を圧迫するようになった。
このため、7月に「マイライン」事業をドリーム社に譲渡、「CHOKKA」を主体にして経営の建て直しを図るとしていたが、10月3日以降の資金繰りの目処が立たず、10月2日に取締役会を開催し民事再生手続開始を申し立てた。
(株)大阪シティドーム(大阪市西区千代崎3中2−1、設立平成4年1月、資本金96億7100万円、淡居毅社長、従業員86名)は10月7日、大阪地裁へ会社更生手続開始を申し立てた。負債は約588億円。
同社は平成4年1月に大阪市が資本の20.6%を出資して設立された第三セクター。平成9年3月に総事業費696億円を投入して5万人規模の収容人数を持つ全天候多目的ドーム、通称「大阪ドーム」をオープン。当初は「大阪近鉄バファローズ」の本拠地球場として利用されるほか、各種コンサートや展示会などが開催され、平成10年3月期には年商91億3000万円をあげていた。
しかし、建築資金の大半を借入金で賄っていたため金利負担が財務を圧迫、多額の減価償却費計上などで開業以来、赤字が続いていた。近年は不況を反映してイベントの受注が減少、16年3月期は年商54億4200万円にとどまり、17億5100万円の赤字を計上、234億6800万円の累損を抱え、137億9700万円の債務超過に陥っていた。
このため、自力での営業継続は困難として、昨年11月に特定調停手続開始を申し立て、債権者である大阪市や金融機関と交渉、債務免除額や今後の事業計画の策定を進めていた。だが、17年3月期は年商52億3600万円、17億7500万円の欠損を計上、債務超過は155億7200万円(累損252億4300万円)に拡大した。
さらに、今期は本拠地として利用していた「大阪近鉄バファローズ」が球団統合により「オリックス・バファローズ」となり大阪ドームでの主催ゲームが減少、また観客のジャンプによる振動問題からロックコンサートの開催が昨年冬以降出来なくなるなど経営環境が悪化していた。
そうした中、特定調停ではドーム施設を筆頭株主である大阪市に売却し、売却代金を金融機関に返済した上で残額を債権放棄してもらう方針であったが、今年6月に出た不動産鑑定が金融機関側の予想を大きく下回る98億8000万円となり、これにより金融機関の債権放棄額が拡大するため金融機関が反発、大阪市の追加支援を求めていた。だが、大阪市としても、買い取り金額を上乗せすれば公費負担が増え、市民からの反発も大きくなることから調整が難航、7月の提出を予定していた弁済計画が9月になっても提出できず、動向が注目されていた。
国武(株)(中央区銀座4−2−6、設立昭和49年4月、資本金9800万円、河内喜夫社長)と関連会社の国際グリーン(株)(同所、設立昭和59年5月、資本金5000万円、同社長)、仙台藤屋産業(株)(宮城県白石市大鷹沢大町字矢ノ口下51−1、設立昭和49年7月、資本金2000万円、同社長)の3社は10月14日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は国武が約164億円、国際グリーンが約262億円、仙台藤屋産業が約80億円。
3社は全国各地でゴルフ場を経営するグループ会社。同グループは昭和47年10月に新水戸カントリークラブをオープンさせて以降、各地でゴルフ場の建設や買収を手掛け、折からのゴルフブームに乗って業容を拡大、一時は全国7カ所でゴルフ場を経営していた。しかし、バブル崩壊後のゴルフブームの衰退で各コースともに利用者が減少していたうえ、預託金償還問題もあって厳しい経営が続いていた。
そうした中、平成14年8月にはグループ会社の国際観光開発(株)、平成16年6月には(株)ニセコゴルフリゾートが民事再生手続開始を申し立てたほか、今年3月には(株)東京國際カントリー倶楽部が会社更生手続開始を申し立てるなどグループの崩壊が表面化していた。
今回、民事再生手続開始を申し立てた3社のうち、国武(株)は茨城県七会村で新水戸カントリークラブ(27ホール)を経営。国際グリーン(株)は久慈川カントリークラブ(茨城県山方町、18ホール、99万平方メートル)の保有会社で、ゴルフ場運営は別会社に委託していた。
仙台藤屋産業(株)も仙台グリーンゴルフクラブ(宮城県白石市、18ホール、105万平方メートル)の保有会社で、運営は別会社に委託するかたちで賃料収入を得ていた。
(株)OHビル(福岡市中央区大名1−15−1、設立昭和48年6月、資本金5000万円、安部忠昭明代表)と関連会社の九州ファクタリング(株)(同所、設立昭和57年4月、資本金1000万円、海老原信夫代表)は、9月30日福岡地裁より特別清算手続開始決定を受けた。
また、同様に関連会社の(株)エス・モア・エス(旧・(株)サンノー酒販、福岡市博多区中洲2−6−7、設立昭和52年2月、資本金1000万円、大木伸)は、10月12日同地裁より特別清算開始決定を受けている。負債はOHビルが255億4859万円、九州ファクタリングが8億5352万円、エス・モア・エスが21億7221万円。
OHビルは昭和38年ナイトクラブ経営の傍ら不動産業に進出、48年6月福岡市博多区中洲で(株)ライン観光として法人化、54年2月(株)ラインビルディングに商号変更した。「ラインビルシリーズ」として福岡市の繁華街(博多、中洲地区)に9棟、天神西通り・親富孝通りに9棟、浄水通り1棟の計19棟を展開、うち17棟は自社ビルで賃貸収入を得てきたほか、2棟は関連会社が保有し管理収入を確保、歓楽街の飲食店ビルとしては集客力も高く、平成3年6月期には年商38億300万円をあげていた。
しかし、その後は消費低迷などから賃貸収入が減少、16年9月期は年商26億5700万円にとどまり、低収益と不動産の損切り処分などから債務超過に陥っていた。また、自社ビル取得資金や商品土地の在庫負担、関連会社向け貸付金などから多額の金融債務を抱え、そのため取引行の主導で自社ビル16棟の不動産証券化などで主要な資産の処分を進めていた。
なお、17年3月に設立されたエル・ビー・ラインビル(株)(福岡市)は、証券化した自社ビルを一括譲渡したSPC(特定目的会社)からビル管理を受託している。
関連会社の九州ファクタリングはグループ会社向けの金融、ファクタリング業務。エス・モア・エスは酒類の卸売を手掛けていた。
日本開発興業(株)(群馬県北群馬郡子持村横堀字白水1676、設立昭和62年9月、資本金3300万円、加藤隆三社長、従業員20名)は、10月12日東京地裁へ民事再生手続開始を申し立て同日保全命令を受けた。負債は約230億円。
同社は昭和62年9月に設立されたゴルフ場の経営会社。平成5年9月「白水ゴルフ倶楽部」をオープン、同ゴルフ場は18ホール、7021ヤード、パー72、145万平方メートルの丘陵コースで上級者向けコースとして知られる。また、関越道利用で都心から77分のところに位置し、その利便性から県外の利用者も多く、約1700名の会員を有しピーク時には年商約9億円をあげていた。
しかし、近年は同業との競合や不況を反映して来場者が減少、客単価の下落もあって業績は悪化、平成17年3月期は年商約3億円にまで落ち込み低収益が続いていた。また、この間の平成13年にメイン銀行の小川信金の解散に伴い約50億円の借入金が整理回収機構(RCC)に移行したことで資金調達力が低下、預託金返還請求にも応じられず、自力再建は困難として民事再生法による再建を選択した。
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