(株)シンコー(大阪市中央区島町2−1−15、設立昭和47年11月、資本金4500万円、松本敏博社長、従業員378名)と関連会社3社は2月10日、大阪地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債はシンコーが約2020億円で4社合計約2459億円。
シンコーは昭和47年11月創業設立したゴルフ場経営会社。昭和50年10月に「グリーンハイランドカントリー倶楽部」(三重県名張市)をオープンしたのを皮切りに54年7月「三木セブンハンドレッド倶楽部」(兵庫県三木市)、61年11月「六甲カントリー倶楽部」(兵庫県西宮市)、平成2年11月「奈良若草カントリー倶楽部」(奈良県山辺郡)、4年6月「ロータリーゴルフ倶楽部」(神戸市北区)、6年3月「サンリゾートカントリークラブ」(和歌山県海草郡)を相次いで開場。その結果、6コース126ホールを保有し、ピーク時の平成5年12月期には年商102億8600万円をあげていた。
しかし、近年は個人消費の低迷を反映してゴルフ利用者が減少していたうえ、同業者との競合から客単価が下落、15年12月期は年商47億8100万円に減少、過去のゴルフ場開発、海外レジャー施設建設などにともなう借入負担が経営を圧迫していた。このため、商業用不動産や遊休資産を売却して借入の圧縮を図るほか、従業員の削減などのリストラを実施してきたが、資産売却による多額の特別損失から81億2600万円の債務超過に陥っていた。そうした中、預託金(約1400億円)の返還請求が増加、現状での自力再建が困難な状況から民事再生法による再建を図ることとなった。
(株)オリエンタルゴルフコーポレーション(三木市口吉川町東中字坂ノ脇942−2、設立昭和61年6月、資本金1200万円、緋本祥好社長、従業員70名)は2月22日、大阪地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約300億円。
同社は昭和61年6月に大手スーパーのグループ会社が中心となって設立されたゴルフ場経営会社。平成4年10月「オリエンタルゴルフ倶楽部」(18ホール、パー72)をオープン、出資者の関連会社などの法人会員を中心にしたメンバー構成で、ピーク時には年商約10億円をあげていた。
しかし、オープンがバブル崩壊直後だったこともあって会員募集に苦戦、平成16年2月期は年商約5億円にとどまり、赤字の続く厳しい経営に陥っていたうえ、預託金の償還負担が財務を圧迫、自力再建は困難な状況から民事再生法による再建を図ることとなった。
(株)ティーエイチケー(横浜市緑区十日市場町801−8、設立平成5年8月、資本金2000万円、大久保茂代表清算人)は、2月15日横浜地裁に破産手続開始を申し立て18日開始決定を受けた。負債は約299億7700万円。
同社は平成14年1月に民事再生手続開始を申し立てた殖産住宅相互(株)(元東証1部、平成15年8月再生手続終結)が、保有する販売用及び賃貸用不動産管理業務の受託を目的として設立され、賃貸料収入中心に平成13年3月期には年商2億6500万円をあげていた。
こうした中、14年1月に殖産住宅相互が民事再生手続開始を申し立て、以後は再生計画に基づき不動産売却などで借入の返済を進めていた。このほど不動産売却が完了したことを受け昨年12月解散を決議、特別清算を予定していたが、徴収猶予中の公租公課の処理に長期間を要する懸念があるため破産の申立となった。
(株)富士カントリー小野クラブ(小野市長尾町真谷835−15、設立昭和61年5月、資本金3億円、白石義彦社長、従業員31名)は2月1日、東京地裁へ民事再生手続開始を申し立てた。負債は債権者4138名に対し297億3721万円。
同社は全国に20カ所以上のゴルフコースを展開する富士カントリーグループの1社。「富士エクセレント小野クラブ」(27ホール、190万平方メートル)を経営、過去には毎期年商10億円超を計上していた。しかし、利用客の減少で平成15年4月期は年商8億8700万円にまで減少、2億8000万円の赤字を計上するなど近年は業績が低迷していた。そのため、開業にともなう多額の借入や提携ローンに関する債務保証が経営を圧迫、平成22年に償還期限を迎える預託金の返還目処も立たない状況にあった。
こうした中、昨年12月にグループ中核の富士カントリー(株)(名古屋市中区)が特別清算手続開始を、1月20日には(株)富士エクセレント倶楽部(名古屋市中区)が民事再生手続開始を申立てるなどグループ企業が相次いで破綻を表面化した。その後、富士カントリーグループはオリックスグループに支援を要請、オリックスグループは富士カントリーのゴルフ場資産を譲り受けるとともに、富士エクセレント倶楽部の事業再生スポンサーに内定した。
同社もオリックスグループの支援を得られる見通しにあったが、今年1月26日に一部金融機関から債権を買収したゴールドマンサックスグループから会社更生手続開始を申し立てられた。同社は、現状のままでは自主再建の道が閉ざされると判断し対抗して民事再生手続開始を申し立てた。
昨年4月に破産宣告を受けた環境建設(株)(元東証2部上場、新宿区)のグループ会社である石栄開発(株)(新宿区北新宿3−4−3、設立昭和48年4月、資本金1500万円、上妻廣政社長)は、2月16日東京地裁に破産手続開始を申し立て18日開始決定を受けた。負債は約279億円。
同社は、昭和48年4月不動産業を目的に石原建設(後の環境建設)と石原社長(当時)との折半出資により設立され、以後は石原建設の事実上のダミー会社として土地や株式投資などに係わってきた。昭和60年に岩手県盛岡市の病院を買収し施設賃貸を手掛けるほか、63年2月には石原建設が仕手集団コスモポリタングループから買い占められた株を引き取るなど、ピーク時には800億円近くの借入を抱えていた。
その後、バブル崩壊により親会社の石原建設は経営悪化に陥り、平成6年頃からミサワホームの下で再建が進められ、石原建設の販売用不動産148億円を石栄開発に分離するなど石原建設の債権債務の引き受け先ともなっていた。しかし、その後、石原建設が12年4月ミサワホームグループの傘下で双葉綜合開発(株)(仙台市)と合併して環境建設(株)と商号変更し再建を目指していたが、思惑通りに進まず16年4月自己破産手続開始を申し立てた。これにより石栄開発などの関連会社についても清算を進め、資産処分がほぼ進んだことから今回の措置となった。
(株)エスシーエム興産(北区王子2−32−8、設立平成14年10月、資本金1億円、廣川和男社長、従業員30名)は2月28日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約263億円。
同社は平成14年10月に住友石炭鉱業(株)(東証1部)の連結子会社として設立され、住友石炭鉱業の流通・ゴルフ・不動産事業部門を分離する形で設立された。当初は札幌市 内を中心にスーパーマーケット「JOY」、「プライスマート」(計17店舗)の経営を主業に賃貸用マンション・ビルなどの不動産賃貸管理業及びゴルフ場「奈井江カントリークラブ」(北海道奈井江町)、「新千歳カントリークラブ」(北海道千歳市)を経営、平成16年3月期には年商242億9400万円をあげていた。
しかし、主力のスーパー部門は不採算店の増加等による売上の減少が続いていたことから、昨年7月に同部門をイオン(株)へ売却し同事業から撤退したものの、ゴルフ市況の落ち込み、不動産市況低迷などにより収益が悪化、大幅な債務超過に陥っていた。そのため、経費削減など経営の立て直しを図ったが、ここにきて自主再建を断念して民事再生法による再建を目指すことになった。なお、昨年9月に住友石炭鉱業の連結対象から外れている。
(株)フランクス(千葉市中央区新千葉1−6−5、登記上:東京都港区虎ノ門3−18−16、設立昭和63年3月、資本金2億9500万円、野竿薫清算人)は昨年11月30日開催の株主総会で解散を決議。1月14日、東京地裁へ特別清算手続開始を申し立て2月14日開始決定を受けた。負債は債権者527名に対し約218億円。
同社は昭和63年3月に設立されたメディカルクラブの経営会社。平成3年9月総工費約200億円を投じて「ホテルフランクス」(千葉市美浜区中瀬)をオープン、ホテル内に会員制人間ドック「フランクス・メディカルクラブ」を開設、ピーク時の平成5年9月期には年商約32億円をあげていた。
しかし、ここ数年は客室稼働率が約85%にとどまり、15年9月期は年商約23億円に減少、ホテル建設にともなう約200億円にのぼる借入負担と会員預託金約18億円の償還問題が財務を圧迫していた。そのため、15年10月同社のホテル部門を(株)ブライダルプロデュース(横浜市中区、ホテル・婚礼業)に譲渡、以後は人間ドックのみの運営となっていたが、借入・預託金が経営を圧迫していた。
身延ゴルフ倶楽部(株)(山梨県南巨摩郡身延町下山922、設立平成1年4月、資本金6000万円、高村博道社長、従業員10名)は、昨年11月に債権者の(株)整理回収機構(RCC、東京都中野区)から甲府地裁に破産を申し立てられ2月9日破産宣告を受けた。負債は約214億円(うち預託金約100億円)。
同社は平成1年4月に設立されたゴルフ場経営会社。7年5月「身延ゴルフ倶楽部」(18ホール、6449ヤード、パー71、99万平方メートル)を開場したが、バブル崩壊後のオープンとなったことで、8年12月期は年商4億6000万円にとどまり、赤字でのスタートとなった。
その後も業績はジリ貧を辿り、15年12月期は年商1億6500万円にまで減少、オープン以来の赤字計上から60億円近い累積欠損を抱えていた。また、その間の13年3月には金融機関の債権がRCCに移行し資金調達力が低下していたうえ今年5月に預託金の償還を控えていた。そうした中、親会社の富士河口湖倶楽部(株)(山梨県鳴沢村)も債権者のRCCに破産を申し立てられ、1月26日破産宣告を受けたことから同社の動向が注目されていた。
(株)伊賀ゴルフクラブ(伊賀市愛田字口北谷2280、設立平成5年1月、資本金1000万円、川邊健一社長、従業員48名)は2月1日、大阪地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約180億円。
同社は平成5年1月に設立されたゴルフ場経営会社。平成7年7月約300億円を投じて「アイ・ジー・エーカントリークラブ」(三重県伊賀町)をオープン、同ゴルフ場は18ホール、6290ヤード、131万平方メートルの丘陵コースで、縁故会員1800万円、一般会員2700万円で会員権を発行していた。
しかし、オープンがバブル崩壊後となったことで業績は計画を大幅に下回り、15年11月期は年商4億6300万円、金利負担などで3億6900万円の赤字を計上するなど、多額の連続欠損から債務超過に陥っていた。そうした中、預託金の償還期限を迎えるにあたり再建計画を策定、人員削減などリストラに取り組んできたが、赤字体質から脱却出来ず自主再建を断念して民事再生法による再建を選択した。
中央抵当信用(株)(江東区永代2−31−1、設立昭和58年10月、資本金1億2000万円、吉澤康範社長)と関連会社のシーエムエス(株)(同所、設立昭和63年10月、資本金1000万円、同社長)は2月16日、東京地裁に破産手続開始を申し立て21日開始決定を受けた。負債は中央抵当信用が約170億円、シーエムエスが約70億円。
中央抵当信用は昭和58年、抵当証券業を目的に設立。その後、不動産担保貸付など貸金業務を主業にピーク時の平成3年3月期には年商36億円をあげていた。しかしバブル崩壊による不動産価格の大幅下落により、貸付金で多額の回収不能が発生、債務超過となり経営が悪化。また14年1月、主力借入先の永代信用組合が経営破綻。新たな資金調達が困難となるなか、15年2月、吉澤社長が回収困難な債権を永代信用組合に買い取らせ損害を与えたとして背任容疑で逮捕、起訴されたことから信用は失墜。営業継続が困難となり今回の申立となった。
シーエムエスは昭和63年設立の貸金業者で中央抵当信用の業務補完を主業としていたが、中央抵当信用の破綻に連鎖した。
西武ポリマ化成(株)(豊島区池袋1−13−18、設立大正8年12月、資本金16億5000万円、小島克之社長、従業員307名)と関連会社の丸東産業(株)(同所、設立昭和21年8月、資本金5000万円、同社長、従業員27名)は2月18日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は西武ポリマ化成が債権者約350名に対し約150億円、丸東産業が債権者約200名に対し約10億円。
西武ポリマ化成は大正6年に西武グループの創業者である堤康次郎氏により創業、同8年に法人化された工業用ゴム製品の製造業者。パイプライン、可撓管、継手を主とする土木資材向けゴム製品48%、港湾での防舷材を主とする海洋資材28%、製紙用ゴムロールなどの産業資材24%の割合で、平成12年3月期には年商108億5000万円をあげていた。
しかし、公共工事削減の影響を受けて受注が減少、16年3月期は87億8800万円まで低下していたうえ、原材料や鉄鋼部材の値上がり、競合激化で収益も悪化。また、関連会社への貸付金や設備投資などにともなう資金投下などで年商を上回る借入を抱えていた。このため、西武鉄道、伊藤忠プラスチックスを引受先に増資を実施、関連会社の清算、借入金の圧縮など各種合理化を進めていた。
こうした中、取引先の八光産業(株)が2月7日に民事再生手続開始を申し立てたことから10億円を超える大口の不良債権が発生、資金繰りが急速に悪化し現状での自力再建は困難と判断、民事再生法による再建を選択した。なお、西武ポリマ化成は借入金のうち約21億円について西武鉄道の債務保証を受けている。
丸東産業は昭和21年に設立された防水・防災工事業者。西武ポリマ化成を中心に西武系列企業から幅広く工事を受注、平成15年12月期は年商8億7100万円をあげていたが、最近は受注の減少が続いていた。西武ポリマ化成に連鎖する形で同時の申立となった。
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