(株)枻出版社(TSR企業コード:292324448、法人番号:8010901002648、世田谷区玉川台2-13-2、設立1973(昭和48)年10月、資本金1億円、角謙二社長)は2月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は村上義弘弁護士(桜川綜合法律事務所、港区虎ノ門2-3-20、電話03-5501-7160)ほか。負債総額は58億円。
アウトドアやゴルフ、ファッションなど趣味の出版を中心に、WEBのデザイン、イベント企画、飲食店なども運営。ライフスタイル雑誌「Lightning」や登山雑誌「PEAKS」、アウトドア雑誌「ランドネ」、文具紹介の「趣味の文具箱」、ゴルフ雑誌「EVEN」、美容師向け雑誌「PREPPY」のほか、ムック本など多数の出版を手掛けていた。また近年は、WEB配信「YOLO」など積極的に事業を拡大し、2017年3月期には売上高102億387万円をあげていた。
しかし、経営の多角化による投資負担に加え、出版不況が長期化したことで業績、資金繰りが悪化。電子書籍や雑誌読み放題サービスへコンテンツを提供する一方、固定経費の削減を進めていた。また、2020年7月に手帳の「ESダイアリー」を他社へ譲渡するなど、事業を縮小していた。
2020年12月には、(株)ドリームインキュベータ(TSR企業コード:294417591、法人番号:6010001141902、千代田区、東証1部)が、枻出版社の一部出版事業と子会社のピークス(株)(TSR企業コード:350806110、法人番号:6010901014694、同所)の全事業を、ドリームインキュベータ100%出資の新設会社のピークス(株)(TSR企業コード:137158130、法人番号:5010001213545、千代田区)が譲り受けると発表。新ピークスが2021年2月5日から「PEAKS」や「EVEN」など24メディアの営業を開始していた。
「新型コロナウイルス」感染拡大により広告出稿も減少し、自力での再建は困難と判断し、今回の措置となった。
(株)万象ホールディングス(TSR企業コード:300154887、法人番号:1010501035154、八潮市大瀬1-8-12、登記上:福島県双葉郡富岡町本岡字赤木100-22、設立2013(平成25)年4月、資本金500万円、吉川孝則社長)は2月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は御山義明弁護士(御山義明法律事務所、東京都中央区日本橋3-8-9、電話03-6225-2557)ほか。監督委員には富永浩明弁護士(富永浩明法律事務所、東京都中央区銀座7-12-14、電話03-3544-0381)が選任された。負債総額は29億円。
万象ホールディングスを筆頭に、グループで断熱材の販売や加工、据付工事などを手掛けていた。2017年12月に総額50~60億円をかけてロックウールの製造拠点として富岡工場(福島県)を操業。建設会社や専門商社向けに販売し、万象ホールディングスは2019年8月期に売上高19億1168万円をあげていた。しかし、工場の稼働効率が想定ほど上がらず、同期には7億4420万円の経常損失を計上。さらに、2020年8月期は「新型コロナウイルス」感染拡大の影響でエンドユーザーの建設会社で工事の延期が生じたため、売上高13億8483万円に対して経常損失9億8562万円を計上していた。
シンジケートローンにより資金繰りを維持してきたが、自力再建の見込みが立たないことから、グループ会社3社とともに今回の措置となった。
(株)コスメティック・アイーダ(TSR企業コード:350519340、法人番号:8021001025200、大和市中央林間5-20-5、設立1984(昭和59)年4月、資本金9050万円、神谷文夫社長)は2月2日、東京地裁に破産を申請し同日、保全管理命令を受けた。申請代理人は篠田憲明弁護士(三宅坂総合法律事務所、千代田区内幸町2-1-4、電話03-3500-2917)ほか。負債総額は26億1500万円。
スキンケア、コールドパーマネント液、シャンプー等の製造販売を手掛け、主にエステティックやヘアサロン業者向けにOEM供給していた。宮城県内に工場を構えていたが、2011年3月に発生した東日本大震災で工場が被災。その後、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を活用し、2017年10月には自社製品を大ロットで製造できる宮城本工場を本格稼働して巻き返しを図った。
2019年3月期には売上高12億4354万円をあげたが、償却負担などから2期連続の赤字を計上し、資金繰りが逼迫していた。そうしたなか、「新型コロナウイルス」感染拡大により化粧品販売が低迷。このため、神奈川県再生支援協議会を利用して私的整理を試みたが、多額の負債を抱えていため、今回の措置となった。
ティーアンドピー(株)(旧:(株)THINK GREEN PRODUCE、TSR企業コード:297387294、法人番号:6010401074768、渋谷区宇田川町37-14、設立2008(平成20)年3月、資本金6200万円、関口正人社長)は2月16日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には佐藤三郎弁護士(佐藤三郎法律事務所、千代田区麹町3-12-7、電話03-3556-2274)が選任された。負債総額は25億円。
カフェレストラン「GARDEN HOUSE」などの飲食店をはじめ、雑貨やウェディング、ホテルなど(直営16店舗)を経営するほか、店舗コンサルティング、企画・開発・プロデュース、不動産オーナー向けに不動産有効活用の提案なども手掛けていた。代表の幅広い人脈を生かして大手企業をクライアントの中心とし、2020年2月期は売上高27億4048万円をあげていた。
しかし同期は、販売管理費の上昇などから営業赤字を計上、営業外費用の増加や特別損失で、最終赤字は2億4694万円に拡大。さらに、「新型コロナウイルス」感染拡大によりレストラン部門の利益が落ち込んだ。投資負担も重荷となり、資金繰りが逼迫していた。
不採算店舗を閉鎖し、経費見直しを進めるほか新型コロナ関連貸付などを利用して資金導入を行っていたが、資金繰りは好転せず今回の措置となった。
(株)中村環境(TSR企業コード:162030592、法人番号:2380001021328、相馬市光陽1-2-23、設立1982(昭和57)年2月、資本金2000万円、五十嵐一昭社長)は2月26日、福島地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は岩渕健彦・後藤泰己両弁護士(エール法律事務所、仙台市青葉区一番町2-10-26、電話022-227-6167)。負債総額は18億4100万円。
1958年に創業し、資源ごみの収集運搬業を主体に廃プラスチックリサイクル、浄化槽清掃、ペット葬儀業などを手掛けていた。2014年に相馬市の工業団地内に廃プラスチックのリサイクル工場を新設し、2016年3月期には約8億7000万円の売上高を計上。しかし、労務費の増加や新工場建設に伴う金融債務などから採算性は低く、厳しい資金繰りが続いていた。
こうしたなか、2019年10月にはプラスチックごみ処理時の残渣管理不十分で日本容器包装リサイクル協会との委託契約を解除され、福島県から改善指導を受けるなど対外信用が低下した。これにより2020年3月期の売上高は約5億6900万円にまで落ち込み、約2億4000万円の赤字を計上し、債務超過額は約7億1300万円まで拡大。業績改善の見通しは立たず、資金繰りも限界に達したことから、自力での再建は困難と判断し、今回の措置となった。
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