栗田出版販売(株)(TSR企業コード:290047668、千代田区神田神保町3-25、設立昭和23年6月、資本金3億7800万円、山本高秀社長、従業員158名)は6月26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には片山英二弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)が選任された。負債総額は約133億8200万円。
大正7年創業と業歴は97年におよぶ老舗で、業界第4位の大手書籍取次業者。書籍や雑誌のほか教育OA機器やCDなどのメディア類も扱い、書店や百貨店、スーパーなどに営業地盤を構築して、ピークとなる平成3年10月期には売上高約701億円をあげていた。
しかし、バブル崩壊以降、出版業界全体の需要は減少し、出版取次業者間の競争激化が進み売上高は徐々に減少、採算も低下して出版不況に苦しんできた。21年9月期(9年から決算期変更)以降は売上高が500億円を下回り、大幅な減収を経費削減で補填できず、傘下の書店子会社の不振も重なり、6期連続の経常赤字を計上。26年9月期の売上高は約329億3100万円にまで落ち込み約2億6200万円の赤字決算になり、約1億9700万円の債務超過に転落していた。
このため、人員削減、本社の売却、支店の統合などにより収益の確保を図ってきたが、今期は上期では経常黒字を確保したものの、下期では赤字見込みを吸収できず、債務超過解消の見通しが立たない状況にあった。
この間、主要出版社から資金支援を受けしのいできたが、さらに資金繰り悪化が続き、今回の措置となった。
なお、今後の再生について中期的には同じ取次業者の(株)大阪屋(TSR企業コード:570030137、東大阪市)と統合協議を進め、出版共同流通(株)(TSR企業コード:294479465、埼玉県蓮田市)には大阪屋との統合までの間、スポンサーを依頼することとして了解を得ているとしている。商品仕入れ・流通も同関連グループに協力を得て、継続的に行う予定。
(株)ザ・サードプラネット(TSR企業コード:432017909、静岡市駿河区中田4-9-23、設立平成17年3月、資本金4500万円、長野和史社長、従業員103名)は6月29日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は住田昌弘弁護士、水田修義弁護士ほか(センチュリー法律事務所、千代田区大手町1-7-2、電話03-5204-1080)。負債総額は約60億円(内、金融債務約45億円)。
昭和58年8月創業、会社分割により平成17年3月に当社が設立された。アミューズメント施設運営を主力業務に、「THE 3RD PLANET」の店名で全国の直営店18店舗とFC店5店舗を展開。ピーク時の平成19年3月期には99億1231万円の売上高をあげていた。
しかし、以降は消費不況や新型インフルエンザ、東日本大震災、原発事故等が相次ぎ、こうした影響で売上高は減収をたどり26年3月期の売上高は約52億8400万円に減少、約5億5000万円の大幅赤字を計上していた。この間、不採算店舗の閉鎖や固定費の削減等で収益構造の見直しを図ったが、設備投資による借入債務が膨らみ資金繰りは逼迫、今回の措置となった。
(株)アカクラ(TSR企業コード:290442842、世田谷区用賀4-10-1、設立昭和44年10月、資本金9000万円、山本太社長、従業員261名)と、関連会社の(株)アカクラインターナショナル(TSR企業コード:296800520、同所、設立平成18年7月、資本金900万円、同社長)の2社は6月26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は吉田広明弁護士(弁護士法人北浜法律事務所東京事務所、千代田区丸の内1-7-12、電話03-5219-5151)ほか1名。負債はアカクラが54億3500万円、アカクラインターナショナルが約19億円。
婦人靴専門店の「アカクラ」として高い知名度を有し、近時は主要店舗の「AKaKuRa」を中心に「FLAG」「FLAG-J」「SHOES PORT」「Magia di mano」の店名で商品構成別に多店舗を展開し、主要ターミナルの駅ビル内や大型ショッピングセンター等全国に92店舗を構えていた。積極的な出店攻勢でピーク時の平成4年3月期には100店舗以上を構え、売上高約160億5000万円をあげていた。しかし、以降は消費の不振や低価格ブランドの台頭などから売上のジリ貧が続き、26年3月期は売上高約102億4400万円にとどまっていた。また、27年に入って以降、相次いで店舗の閉鎖を進めていた。
アカクラインターナショナルは仕入窓口としての位置付けでアカクラへの販売が中心、25年9月期は売上高約61億5000万円をあげていた。
こうしたなか、スポンサーとして中国資本で投資運用業を手掛けるCITIC Capitalグループ傘下のファンドによる支援が決まり、プレパッケージ型の民事再生法の適用を申請した。スポンサーによると「今後、アジアからのインバウンド需要を取り込んで再生に取り組みたい」としている。
(株)榎並工務店(TSR企業コード:570021251、大阪市浪速区浪速東1-2-26、設立昭和37年10月、資本金4億5000万円、榎並靖博社長、従業員84名)は再度の資金ショートを起こし6月11日、行き詰まりを表面化した。7月1日、大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、監督委員には印藤弘二弁護士(はばたき綜合法律事務所、同市北区西天満4-8-17、電話06-6363-7800)が選任されている。負債総額は約38億円。
昭和2年5月創業の建築工事業者。地元大阪を主たる営業基盤として、官公庁発注の公共工事のほか一般施主からの工事も手掛け、ピーク時の平成10年3月期には完工高121億4969万円を計上していた。
その後、公共工事の減少などで業績は下降線をたどっていたが、新興デベロッパーが手掛けるマンション建築などを積極的に受注し、19年3月期には完工高98億6623万円に回復した。ところが、リーマン・ショック後の受注停滞で業績は再び低迷、23年3月期の完工高は47億9451万円にまで低下し、1億3280万円の最終赤字を計上していた。
最近では、公共工事の前倒し発注などもあり、26年3月期の完工高は70億3806万円にまで回復し、黒字にも転換していた。しかし、工事に伴う立替資金需要などで借入金に依存した運営が続き、余裕のない資金繰りが続いていたなか、たびたび外注先および仕入先に対して支払延期を要請。27年4月には取引先に対し説明会を開催するなど立て直しを図っていたが、27年6月10日の決済資金のめどが立たず同日、事業を停止していた。
しかし同月12日、事業再開に向けて動き出したと本社事務所に張り紙を掲示したことが判明。24日には主力取引先に対して協力を要請し、7月1日付で民事再生法の適用を申請した。
(株)吉利(TSR企業コード:291007031、台東区柳橋1-15-5、設立昭和25年5月、資本金4300万円、内田武昭社長)は6月2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には新保義隆弁護士(新保法律事務所、千代田区内幸町1-1-7、電話03-5511-1511)が選任された。負債総額は24億7800万円。
昭和5年創業の和装小物販売業者。帯締め、半襟、足袋を専門に取り扱い、販売のほかレンタルも手掛けていた。オリジナル振袖小物「ベルソール」を主体とした事業を展開。着物販売業者や大手百貨店に販路を築き、平成4年6月期には売上高約66億円をあげていた。
しかし、着物離れなどから売上は伸び悩み、25年8月期(決算期変更)の売上高は約18億5000万円に低下した。業績不振に陥り、また不良在庫も抱え資金繰りが悪化。以降も業況は改善せず、5月末の決済が不調となり今回の措置となった。
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