こうして倒産した

2024年(令和6年)7月度こうして倒産した・・・
MSJ資産管理(株)(旧:三菱航空機(株))
  • 愛知
  • 航空機開発製造
負債総額
6413億円
 

 MSJ資産管理(株)(TSR企業コード:402666453、法人番号:7180001064730、西春日井郡豊山町豊場1、登記上:東京都千代田区丸の内3-2-3、設立2008(平成20)年3月、資本金5億円)は7月4日、東京地裁に特別清算を申請した。
 申請代理人は横山兼太郎弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、東京都千代田区大手町1-1-2)。
 負債総額は6413億円。
 三菱重工業(株)(TSR企業コード:291022804、法人番号:8010401050387、東京都千代田区)が2008年、SJ(スペースジェット)の開発に本格的に着手したことを受けて法人化された。期待の大きさもあって当初は287機の受注を確保していたが、TC(型式証明)の取得が難航したことや「新型コロナウイルス」感染拡大による航空業界への影響から事業環境が極めて厳しい状況に陥り、2020年10月に親会社の三菱重工業が事業そのものの凍結を発表。2023年2月には開発の中止を正式発表していた。
 同年4月、現商号に変更し2024年3月31日、株主総会の決議により解散し、清算手続きに入っていた。

アサヒフードクリエイト(株)
  • 東京
  • 飲食店経営
負債総額
89億9726万円
 

 アサヒフードクリエイト(株)(TSR企業コード:295288833、法人番号:7010001075637、墨田区吾妻橋1-23-1、設立2001(平成13)年9月、資本金4000万円)は7月12日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は89億9726万円。
 ビール大手、アサヒグループホールディングス(株)(TSR企業コード:290006821、法人番号:6010601036386、墨田区)のグループ会社として外食事業を手掛けていた。
 「アサヒビール園」のほか、「Asahi BeerFront」「BEER&SPICE SUPER“DRY”」「アサヒ・ザ・グリル」などの店名で、アサヒビールを主体としたビアホールやビアレストランを展開。ピーク時には全国に約50店舗を出店し、2012年12月期は売上高約86億3000万円をあげていた。しかし、同業他社との競合激化により採算面は低迷。さらに、「新型コロナウイルス」感染拡大による時短営業などの制限を受けて業績が大幅に悪化した。2020年12月期は売上高23億4582万円に落ち込んだうえ、赤字計上により30億円以上の債務超過に陥った。2022年12月期は売上高39億2549万円まで回復したものの、コロナ禍の影響を受けるなかで赤字決算が継続し、債務超過がさらに拡大した。
 こうしたなか、同グループの事業再編に伴い、2023年9月には一部事業を大手外食チェーンに譲渡。当社は2024年4月30日株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

ALV(株)
  • 埼玉
  • 自動車販売、不動産賃貸
負債総額
70億円
 

 ALV(株)(旧:セントラル自動車技研(株)、TSR企業コード:134467868、法人番号:5021001004306、川口市末広1-11-2、登記上:同市川口3-2-6、設立1965(昭和40)年4月、資本金1000万円)は7月8日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には上石奈緒弁護士(四季の法律事務所 、東京都千代田区神田猿楽町2-1-8)が選任された。
 負債総額は70億円。
 (株)東京テクニカル・リサーチの商号で設立。旧:セントラル自動車技研(株)(TSR企業コード:310092124、法人番号:2030001075664、川口市)を中核的存在とするセントラルグループの1社として、(株)田中德兵衞ホールディング(TSR企業コード:310025737、法人番号:5030001076040、同所)の傘下で事業を行っていた。
 旧:セントラル自動車技研は、BMW・MINIの正規ディーラーとして埼玉県南部エリアを中心にBMW10拠点、MINI6拠点、認定中古車6拠点、サービス工場7拠点、Motorrad5拠点のネットワークを展開。また、ハーレーダビッドソンの正規ディーラーとして、輸入二輪車も取り扱っていた。 2013年11月には、独立系のBMW国内ディーラーとしては初の新車累計販売台数4万台を達成するなど国内トップの規模を誇り、2016年12月期は売上高約275億円を計上していた。しかし、2020年12月期決算時点で80億円を超える規模の負債を抱えていたなか、2020年11月1日にBMW、MINI、Motorrad正規ディーラー事業を(株)モトーレン埼玉(TSR企業コード:662383893、法人番号:9140001094622、兵庫県神戸市中央区)に、2021年9月にはハーレーダビッドソンの正規ディーラー事業を(株)オートピア(TSR企業コード:314532706、法人番号:8030001103015、東京都中央区)に譲渡し、以降は業容が大幅に縮小していた。
 こうしたなか、当社は2022年3月28日、旧:セントラル自動車技研を吸収合併すると同時に、セントラル自動車技研(株)に商号を変更。以降は旧:セントラル自動車技研が所有していた不動産による賃貸収入が事業の中心となっていたが、吸収合併により抱えた多額の金融債務を整理する目的もあって2024年6月26日、現商号に変更し、今回の措置となった。

ACAO SPA&RESORT(株)
  • 静岡
  • リゾート施設運営
負債総額
63億円
 

 ACAO SPA&RESORT(株)(TSR企業コード:440061156、法人番号:3080101012859、熱海市上多賀1027-8、登記上:東京都千代田区丸の内2-5-1、設立1970(昭和45)年6月、資本金5505万1円)は7月29日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
 申請代理人は柴原多弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、千代田区大手町1-1-2)。
 負債総額は270名に対して63億円。
 1954年3月に「赤尾旅館」として創業。熱海市の観光ホテル「ニューアカオ」や「ロイヤルウイング」を運営し、ピークとなる1996年12月期には55億907万円の売上高をあげた。しかし、2020年以降は「新型コロナウイルス」感染拡大の影響により休業を余儀なくされるなど、業況が悪化。2021年12月期の売上高は9億6337万円にとどまり、32億859万円の赤字計上から債務超過に転落した。
 こうしたなか、建物の老朽化もあり、2022年11月にはホテルを他社へ売却するとともに、ホテル運営事業から撤退。その後はリゾート施設運営に業態を転換し、ガーデン「ACAO FOREST(旧:アカオハーブ&ローズガーデン)」、「ACAO BEACH」、カフェ・レストラン「ACAO CAFE&DINING」を運営していたが、厳しい資金繰りが続くなか、先行きの見通しが立たず、今回の措置となった。

寛一商店(株)
  • 京都
  • 調剤薬局運営
負債総額
52億円
 

 寛一商店(株)(TSR企業コード:642359407、法人番号:1130001050294、京都市中京区一之船入町537-20、設立2012(平成24)年11月、資本金2000万円)は7月26日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し同日、保全管理命令を受けた。
 申請代理人は三森仁弁護士(あさひ法律事務所、東京都千代田区丸の内2-1-1)。
 保全管理人には南賢一弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、東京都千代田区大手町1-1-2)が選任された。
 負債総額は52億円。
 「なぎさ薬局」の屋号で調剤薬局を経営していた。大垣市民病院前での開業を皮切りに、宇治市や京都市北区などに出店。開業直後から出店攻勢を強め、京都市内を中心に東京都や埼玉県、岐阜県、愛知県、宮崎県などに直営店を展開し、2018年10月期には売上高約34億3000万円を計上していた。さらに、2018年8月以降は2年間で7社の調剤薬局をM&Aにより子会社化し、北海道や青森県、新潟県などを中心に、傘下とする調剤薬局は全国約60カ所まで急増。これらの企業買収・店舗譲受によって、業容は拡大基調をたどっていた。
 しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大後は、外出機運の低下の影響を受け、業績が悪化。事業拡大のために金融機関から調達していた多額の借入金の返済資金を捻出することができなくなるなど、資金繰りが限界に達したことから、今回の措置となった。

大賀(株)
  • 大阪
  • 紳士・婦人服製造販売
負債総額
37億円
 

 大賀(株)(TSR企業コード:570022924、法人番号:8120001153703、枚方市長尾谷町1-67-1、設立1949(昭和24)年10月、資本金1億円)は7月26日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。
 申請代理人は山形康郎弁護士ほか6名(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪市中央区北浜2-5-23)。
 負債総額は37億円。
 1919年7月創業の老舗企業。スーツやコートなど、紳士・婦人服の製造販売を手掛け、全国の百貨店や専門店、直営店などに販路を構築し、ピーク時の1992年7月期には売上高334億8356万円を計上した。しかし、バブル崩壊の影響もあって、1994年7月期には売上高が241億3074万円まで減少し、赤字を計上。以降は慢性的な赤字体質に陥るなかで、不採算事業の見直しや中国産生地の使用による利益率の改善、生産工場の集約化などを行っていた。また、「CORNELIANI」など海外ブランドとの提携製作による受注確保にも努めていたが、売上減少に歯止めがかからず、2019年7月期の売上高は63億9785万円にとどまっていた。
 さらに、2020年以降は「新型コロナウイルス」感染拡大により、スーツなど紳士服着用の機会が減少した影響が大きく、2020年7月期の売上高は38億4990万円に急減し、9億7749万円の赤字計上から債務超過に転落。以降も、猛暑による販売不振や円安による仕入単価の高騰など苦境が続いていた。
 この間、雇用調整助成金の受給やゼロゼロ融資の利用、資本性ローン導入などにより資金繰りを維持していたが、2023年10月には金融機関により動産譲渡登記が設定されるなど、窮屈な資金繰りが露呈。その後も業況は改善せず、自力での再建を断念した。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「戸建住宅」メーカー115社 増収増益 3年連続増収も、減益企業は半数に

全国の主要戸建メーカー、ハウスビルダー115社の2023年度決算(2023年4月期-2024年3月期)は、売上高8兆1,214億円(前年度比3.8%増)、利益4,728億円(同17.8%増)と増収増益だった。 2023年度の新設住宅着工戸数(持家+分譲戸建、国交省)は、前年度から1割減(9.9%減)の35万3,237戸にとどまった。

2

  • TSRデータインサイト

2024年の「早期・希望退職」募集1万人が目前 上場企業53社、人数非公開の大型募集相次ぐ

2024年1月から11月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は53社(前年同期36社)で、前年同期の約1.5倍のペースで推移している。集計の対象人員は、9,219人(同2,915人)と3倍に増加し、すでに2023年の年間社数、人数を上回った。

3

  • TSRデータインサイト

2024年1-10月「後継者難」倒産396件 後継者不在が深刻、年間最多の500件も視野

代表者の高齢化など、後継者不在による倒産が増勢をたどっている。10月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は49件(前年同月比32.4%増)発生し、1-10月の累計は396件(前年同期比10.3%増)と1-10月の最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

「雇用調整助成金」の不正受給公表が累計1,446件 全国ワーストは愛知県、年商を上回る不正受給は31社

全国の労働局が10月31日までに公表した「雇用調整助成金」(以下、雇調金)等の不正受給件数が、2020年4月から累計1,446件に達したことがわかった。不正受給総額は463億7,025万円にのぼる。2024年10月公表は35件で、4月(23件)に次いで今年2番目の低水準だった。

5

  • TSRデータインサイト

船井電機「破産開始」への対抗、天文学的な成功率

船井電機(株)(TSR企業コード:697425274)の破産手続きが混沌としている。10月24日に東京地裁へ準自己破産を申請し同日、開始決定を受けた船井電機の破産手続きに対抗する動きが明らかになった。

TOPへ