(株)MTGOX(TSR企業コード:298819350、渋谷区渋谷2-11-5、設立平成23年8月、資本金500万円、カルプレス・マルク・マリ・ロベート社長)は2月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には小林信明弁護士(長島・大野・常松法律事務所、千代田区紀尾井町3-12)が選任された。負債総額は債権者(ユーザー数)約12万7000人(日本人は約0.8%)に対し65億100万円。
仮想通貨「ビットコイン」の取引所として機能するサイト「Mt.Gox(マウントゴックス)」をネット上で運営するベンチャー企業。当社の親会社である(株)TIBANNE(TSR企業コード:298130840、同所、設立平成21年10月、資本金500万円、同社長)が、平成23年3月に同サイトを買収し、その運営を目的に設立された。
ビットコインはネット上で流通している電子マネーで、紙幣や硬貨などは存在せず、流通を管理する組織などもない。ドル、円等への換金は「Mt.Gox」などサイト上の取引所を通じて行われる。欧米を中心に普及してきたが、同サイトは海外ユーザー中心に会員数は60万人以上にのぼる世界有数の規模として知名度は高かった。
決済に関してはユーザーから預り金という形で代金を回収し、ユーザー同士の契約成立後に手数料を差し引いた額を再度ユーザーへと支払う方式をとり、25年3月期は手数料収入を中心に売上高1億3500万円を計上していた。しかし、26年2月に入りシステムのバグを悪用した不正アクセスで、ビットコインの送金および引出が正常に完了しない取引が増加。また、バグを利用した不正アクセスにより、ビットコインが不正に引き出されている可能性があることが判明した。その後、当社の調査によって24日頃までに、ユーザーの取引履歴上のビットコイン保有高である約75万ビットコインおよび会社の取引履歴上の保有ビットコインである約10万ビットコインのほぼ全部がなくなっていることが判明。さらに24日昼には、ユーザーからの預り金の総額に対し、金融機関の預金残高が大幅に不足していることがわかり、平常の事業運営が困難であると判断したため25日昼にサイトのアクセスを全面的に停止していた。
和田工業(株)(TSR企業コード:291000240、墨田区本所3-21-10、設立昭和16年9月、資本金4350万円、和田圓社長、従業員143名)は2月12日、東京地裁へ破産を申請した。破産管財人には松田耕治弁護士(シティユーワ法律事務所、千代田区丸の内2-2-2、電話03-6212-5500)が選任された。負債総額は約30億8900万円。
昭和7年に合成樹脂製品の製造を目的に創業した老舗メーカー。現在は化粧品容器やキャップ、携帯電話向けを中心とする各種プラスチックケースや部品の製造を行っていた。栃木県と岩手県に自社工場を設け、近代的な設備と高い技術力で広範囲な製品に対応、大手化粧品メーカーなどを主力取引先として、ピーク時の平成17年8月期には売上高約46億6000万円、利益690万円を計上していた。しかし、以降は競合の激化もあって売上高は徐々に減少、21年8月期には33億1868万円にまで落ち込み、1億5362万円の赤字を計上していた。
その後も化粧品向け製品は減少し続けていたうえ、スマートフォンの台頭で携帯電話向けケースの需要が低下していた。その間、中小企業再生支援協議会へ協力を求め、銀行の合意を得ていたものの、主力先からの受注が落ち込み25年8月期の売上高は20億6278万円にまで低下した。また、過去の設備投資が重くのしかかり多額の借入金を抱えていた。26年8月期には新規案件の受注獲得に取り組んでいたが奏功せず資金繰りも限界に達し、今回の措置となった。
(株)武屋(TSR企業コード:310336074、戸田市氷川町2-15-6、登記上:蕨市南町3-14-11、設立昭和60年6月、資本金3000万円、武藤克人社長)は2月5日、さいたま地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には堀之内幸雄弁護士(みずき法律事務所、さいたま市浦和区高砂2-9-5、電話048-834-1206)が選任された。負債総額は約30億円。
食肉(主に牛肉、一部豚肉の取り扱いもあり)の加工・卸売を主体とした業態にあった。大手食肉メーカーや商社等を中心に販路を確立し、平成16年11月期には売上高約94億7800万円を計上していた。16年12月には戸田市の現本社地の不動産を取得、同所に加工工場を建設し19年秋より稼働を開始していた。
しかし、受注低迷に相場価格の下落が重なって売上推移は下降線をたどり、23年11月期には売上高が約49億円まで減少。設備資金の確保等で膨らんでいた金融債務に伴う金利負担が収益を圧迫、赤字決算が続いていた。24年11月期の売上高は約52億円とやや上向いたものの、収益環境は好転せず資金繰りは悪化、ついに支えきれず今回の措置となった。
(株)オムコ(TSR企業コード:297723987、台東区上野7-6-5、設立平成17年1月、資本金1000万円、大村年央社長)は2月26日、東京地裁に破産を申請した。破産管財人には服部秀一弁護士(服部総合法律事務所 、千代田区内神田1-2-2、電話03-3295-4222)が選任された。負債総額は27億8300万円。
中古パチンコ機器や中古のスロット機器の販売のほか、付帯業務として取付工事も手がけていた。全国のパチンコホール経営会社を対象とした事業基盤を築き、ここ数年は比較的安定した業績で推移していた。
平成25年5月期には新規参入する企業へのコンサルティング業務も本格化したことから販売を伸ばし、売上高60億453万円と過去最高となった。しかし、利益率は低く、最終利益は160万円にとどまり資金繰りは余裕を欠いていた。
なお、主要取引先であるJALCOホールディングス(株)(TSR企業コード:298781972、東京都中央区、JASDAQ)は、オムコが不正行為を行っている疑義があるとして、2月20日から新規取引を停止。2月26日には、オムコに対する売掛債権・貸出金の合計8億6941万円について債権取立不能のおそれが生じたことを公表しているが、取引に投じた資金はすべて自己資金であり、債権取立不能となった場合でも資金繰りには問題ないと説明している。
新長崎水産(株)(TSR企業コード:920233929、長崎市京泊2-10-2、設立平成1年4月、資本金5000万円、野村陽一社長)は2月17日、長崎地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には福崎博孝弁護士(福崎博孝法律事務所、長崎市樺島町4-6、電話095-824-8186)が選任された。負債総額は約21億円。
まるの漁業(株)(TSR企業コード:920018564、長崎県新上五島町)の出資により設立された水産物加工会社。まるの漁業が漁獲したアジ、サバなどの加工業務のほか、冷蔵倉庫業務を手がけていた。ピークとなる平成23年6月期には、東日本大震災の影響で東北地区からの受注が増加し、売上高約7億円を計上していたが、単価下落により約1900万円の赤字を計上した。
その後、売上が伸び悩んだうえ、設立当初から慢性的な赤字経営が続いていたことから24年6月期には約10億円の債務超過に陥っていた。
水揚げ不足により業績不振で経営再建中のまるの漁業からの支援も期待できず、今回の措置となった。
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