(株)クラヴィス(TSR企業コード:570388589、大阪市都島区東野田町2-8-8、設立昭和50年7月、資本金54億3438万円、蔵内英人社長)は7月5日、大阪地裁へ破産を申請した。破産管財人は小松陽一郎弁護士(小松法律特許事務所、大阪市北区中之島2-2-2大阪中之島ビル、電話06-6221-3358)。負債総額は、債権者約46万人に対して総額3268億8700万円(うち過払金返還請求権が3219億6700万円)。
同社の前身は、消費者向け小口融資を全国的に展開していた旧:「リッチ」。その後、同業との合併などを経て(株)ぷらっとに商号変更。個人向け無担保ローンの新ブランドを導入するなどして平成16年3月期には年商378億400万円を計上した。しかし、出資法の改正に伴い上限金利引き下げの実施によって事業環境が厳しくなり各既存店舗の統廃合を進めた。ただ、その後もグレーゾーン金利廃止の影響が大きく、過払い金返還引当を計上したことで同19年3月期には最終赤字が274億7100万円となった。これ以降も継続的な引当損が発生するなかで同19年9月末には全店舗を閉鎖、貸付債権は他社譲渡して債権管理業務に特化していた。
事業再生ADR手続の成立を目指していた三光汽船(株)(TSR企業コード:290448557、千代田区内幸町2-2-3、設立昭和9年8月、資本金118億8270万円、朝藤久社長、従業員190名)は7月2日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。申請代理人は松村正哲弁護士(森・濱田松本法律事務所、千代田区丸の内2-6-1、電話03-5223-7755)ほか。負債総額は1558億7400万円。
昭和9年8月、元自民党衆議院議員の故・河本敏夫氏が設立した独立系の海運会社。昭和38年の海運集約化の流れには参加せず、独立系海運会社として業容を拡大、業界大手のタンカー海運会社となっていた。だが、同56年以降の海運不況の影響で不採算航路が続出して経営が悪化、同60年8月、負債総額約5200億円を抱えて会社更生法の適用を申請、当時の戦後最大の大型倒産となっていた。その後、同61年1月、更生手続開始決定を受け、平成元年11月、更生計画が認可。従業員削減と船舶売却など合理化を進め、同10年2月、更生計画を9年繰り上げて更生債権を完済、更生手続を終結していた。
更生手続終結後は、世界の海上荷動きに対応した三国間輸送に重点を置き、効率的な配船と船腹確保を行い、中国経済の拡大による鉄鉱石輸送などが拡大し、平成20年3月期には年商2293億7700万円を計上していた。しかし、以降はリーマン・ショックに端を発する世界的な経済環境の悪化を受け、運航量・単価が下落。さらに、借入負担とともに船舶燃料油価格が高止まりするなどで運航経費負担が増加。直近では、ばら積み船や液化石油ガス(LPG)船など195隻を運航しているが、同23年3月期の年商1255億8600万円にとどまり営業損失も膨らんだことから、157億8300万円の最終赤字となっていた。また、ここ最近の円高に伴いドルベースでの収入が落ち込み、不採算船の売却などリストラを進めていたものの、同24年3月期年商は996億円に落ち込み、経常赤字313億円、純損失1104億円を計上していた。
3月9日には短期的な資金繰りに窮したため船主、造船所及び海外金融機関に対し3月9日以降の支払代金の繰り延べを要請。3月15日には事業再生実務家協会に事業再生ADR手続の利用を申請し、受理されたことを3月30日に公表していた。手続成立に向け、6月1日に第2回債権者会議を開いていたが、自社船が海外で差し押さえられたことなどにより、事業再生計画案の策定ができなくなっていた。その後も継続協議となった7月3日の第2回債権者会議で協議を進めるための再生計画の策定を進めていたが、関係先との調整が進まず計画の策定が困難となったため、自力での再建を断念し会社更生法を申請した。
(株)富士スタジアムゴルフ倶楽部(TSR企業コード:571686290、甲賀市甲賀町五反田574、設立平成3年12月、資本金1000万円、福田康生社長、従業員70名)は7月2日、大津地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は福田健次弁護士(堂島法律事務所、大阪市中央区北浜2-3-9、電話06-6201-4457)。負債総額は430億円。
ゴルフ場「富士スタジアムゴルフ倶楽部」の経営会社。当初は、(株)富士住建がゴルフ場開発を目的に周辺の山林を買収し、平成3年12月に当社を設立し開業準備に入り、同8年8月に南コース、10年10月に北コースを逐次オープンさせ、後発業者ながら、尾崎将司氏と佐藤謙太郎氏が設計・監修したゴルフ場として注目を浴び、同13年3月期には年商約13億円を計上していた。
しかし、ゴルフ場利用客の減少や近隣業者との競合に加え、当時メインバンクであった幸福銀行の破綻により、平成13年2月には同行に負っていた債務は整理回収機構へ債権譲渡されるなど成り行きが注目されていた。その後、リーズナブルな料金設定など同業との差別化により客足回復を図ったが奏功せず、同23年3月期は年商約8億5000万円まで落ち込んだ。さらに南コースオープンの際に募集した会員に対する預託金の償還時期が今夏に迫ったことで、法的手続きに踏み切った。
ポリマテック(株)(TSR企業コード:291048137、中央区日本橋本町4-8-16、設立昭和22年12月、資本金16億6950万円、大久保善彦社長ほか代表1名)は7月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員は伊藤尚弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)。負債総額は203億7900万円。
業歴65年を有する老舗の電子・電気機器用のゴム製パーツのメーカーとして長年の実績を有し、ラバースイッチ、コネクタ、防振ゴム、ローラーなど幅広い工業・電機機器製品で用いられていた。技術水準は世界的にもトップクラスの専門メーカーとして知名度は高く、特に携帯電話向けのボタンや、カーナビなど車載電気機器の防振部品などではトップシェアを有していた。
携帯電話の普及によるボタン部品関連の需要増を背景に大手携帯電話メーカーなどとの取引が拡大、ピーク時の平成20年12月期には年商344億3600万円を計上していた。製造は国内では福島県内に拠点を設けていたほか、海外現地法人経由でマレーシア、インドネシア、タイ、中国に生産工場を設置していた。
しかし、リーマン・ショック後は取引先メーカーの減産が響き大幅に受注が減少。また、スマートフォンの普及に伴い、従来のボタン式携帯電話の部品需要が落ち込み売上の減少推移が続いた。この間、自動車向けやゲーム機、スマートフォン向け部品の開発にも注力していたが、売上をカバーするには至らなかった。
さらに、平成23年は東日本大震災の発生で福島工場が一時的に稼働停止を余儀なくされたことに加え、タイで発生した洪水でも現地工場が被災。これで同23年12月期は年商129億2000万円にまで落ち込んだうえ、工場被災による特別損失や円高による為替差損などの特別損失も加わり、最終赤字は54億6200万円にまで膨らみ債務超過に転落していた。
今期は米アップル社などのスマートフォン向けや自動車分野への製品供給に取り組んでいたものの、業況は好転せずここにきて資金繰りも限界に達し今回の措置となった。
全国小売酒販組合中央会(TSR企業コード:295666633、目黒区中目黒2-1-27、設立昭和28年11月、代表理事:四十万隆氏)は7月13日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員は五十嵐啓二弁護士。負債総額は150億円、債権者数は加盟組合員に勤める従業員などの年金契約者を中心に約1万5000人。
全国小売酒販組合中央会は、加盟組合員の税金保全業務のほか私的年金制度の共済事業を行っていた。年金資産の運用のため平成14年12月から同15年3月にかけて、掛け金のほとんどにあたる約145億円を1つだけの投資対象(チャンセリー債)に集中投資していた。この外国債券への投資に失敗し多額の損失を計上したことに関して、酒店経営者らが損害賠償を求めていた裁判に敗訴、同23年9月27日に東京地裁から、全国小売酒販組合中央会と元事務局長らが約2億7980万円の支払い命令を受けていた。
このため、当会は投資を仲介したクレディ・スイスに対しリスクを十分説明しなかったとして、約160億円の損害賠償を求めた。しかし平成24年5月30日、東京高裁の判決ではクレディ側の責任はない、との一審判決を支持したことで控訴が棄却されていた。このため、運用していた年金掛金の返還が困難となり、今回の措置を決定した。
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