「小野グループ」の中核企業であるワシ興産(株)(TSR企業コード:590070959、福井市宝永4-3-1、登記上:東京都港区高輪2-15-21、設立昭和46年4月、資本金10億円、小野光太郎社長、従業員28名)と、ワシマイヤー(株)(TSR企業コード:590070932、福井市宝永4-3-1、設立昭和46年7月、資本金10億173万円、小野稔社長、従業員168名)、(株)アサヒオプティカル(TSR企業コード:600076822、鯖江市下河端町47-26、登記上:福井市宝永4-3-1、設立昭和55年12月、資本金2億4000万円、小野稔社長、従業員120名)の3社は10月26日、福井銀行から東京地裁へ会社更生法の適用を申し立てられ11月16日、会社更生開始決定を受けた。
管財人には新保克芳弁護士(新保・髙﨑法律事務所、東京都中央区日本橋3-2-9、電話03-3242-1781)が選任された。負債総額はワシ興産が404億3300万円、ワシマイヤーが200億9700万円、アサヒオプティカルが40億8500万円。
ワシ興産は、自動車用軽合金鍛造ホイールメーカーとして国内最大規模を誇り、国内、海外各自動車メーカーの最高級グレード車に採用されているほか、F-1用レーシングホイール納入実績においては圧倒的シェアを持っている。平成23年12月にはドイツの「BBS」の商標権や鍛造ホイール部門を買収して世界的な注目を浴びていた。原則的に製品はグループのワシマイヤー経由で各自動車メーカーに販売。ワシ興産は、不動産売買が活発だった同21年12月期は売上高87億5132万円、当期純利益6億6547万円を計上していた。
しかし、平成23年12月期は「東日本大震災」やタイの洪水被害により各自動車メーカーからの受注が激減、32億1074万円に落ち込んでいた。実質的な販売会社であるワシマイヤーもワシ興産と同様の推移をたどった。
ピークの平成21年12月期は不動産の売上も加わり120億4963万円の売上高を計上していたが、同23年12月期は45億8563万円に激減していた。
サヒオプティカルはカールツアイス社の国内総代理店で、プラスチックメガネレンズの国内大手メーカー。ピークの平成14年9月期は47億3118万円の売上高を計上していたが、眼鏡業界の低迷を反映して、同23年12月期(同16年から決算期変更)は26億9165万円に落ち込んでいた。
テレビショッピング「日本直販」運営の(株)総通(TSR企業コード:570103401、大阪市中央区内久宝寺町2-2-1、設立昭和47年10月、資本金1000万円、喜多俊憲社長、従業員187名)は11月9日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員は小寺史郎弁護士(フェニックス法律事務所、同市北区中之島2-2-2、電話06-4706-1550)。負債総額は174億9300万円。
昭和36年5月「東洋ペン字学会」の屋号で創業し、ペン習字の通信教育から事業を開始した。同52年からはラジオ・テレビの媒体を通じて販売する「日本直販」事業を開始した。
現在では健康食品、美容器具、生活雑貨、電化製品、家具、ファッションなど幅広く取り扱い、全国のテレビ局127局、新聞社52社、出版100社に広告を掲載。自社企画商品に注力し新商品開発に資金を投下、多くのヒット商品を送り出し年々業容を拡大、平成9年9月期には年商約410億円を計上した。
しかし、以降はデフレによる消費低迷と販売チャネルの多様化、消費者ニーズに合った商品提供ができなかったこと、さらに東日本大震災以降のテレビCM自粛による影響により減収基調をたどった。また、この間、スチームアイロンのリコールによる損失もあり財務状態は苦しくなっていた。
最近ではインターネット通販にも進出するなどテコ入れを図っていたが、減収に歯止めがかからず、平成21年9月期は年商約280億円にとどまっていた。新商品の投入を行いラインナップの充実に努めていたが奏功せず、業績回復および資金繰りの改善には至らなかった。こうした中、同24年6月に入り金融機関に対して返済条件の緩和を要請したものの、想定以上に業績は悪化し資金繰りが遂に限界に達したことから、法的手続きを申請した。
(株)プロセス・ラボ・ミクロン(TSR企業コード:310257832、川越市芳野台1-103-52、設立昭和42年5月、資本金6500万円、伊藤尚志社長、従業員140名)は11月28日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。監督委員には中藤力弁護士(日比谷総合法律事務所、港区虎ノ門1-6-12、電話03-3501-9777)が選任された。負債総額は47億円。
プリント基板実装用のメタルマスクの開発・製造を主軸とし、関東・東海・関西及び九州に工場・営業所を展開。国内大手電機メーカー等からの受注を主力に、平成20年6月期には約25億6600万円の売上高を計上していた。
その後、リーマン・ショックを契機とする景況悪化の煽りを受けて平成22年6月期には売上高が約20億5800万円にまで減少したものの、経費削減努力が奏功し4900万円余の当期純利益を確保。同23年6月期中には中部テクノロジーセンター(愛知県小牧市、同24年3月開設)の建設を進め、積極的な設備投資で生産能力の増強をはかり業績回復を目指していた。
しかし、東日本大震災発生以降の国内半導体メーカーの低迷を受けて、投資に見合った売上高を確保することができなくなり資金繰りが悪化。自力での再建を断念し法的手続きに踏み切った。
(株)サクラダ(TSR企業コード:290059593、千葉市中央区中央2-3-16、設立大正9年4月、資本金19億274万2199円、曽田弘道社長、従業員138名)は11月27日、東京地裁に破産を申請した。破産管財人には加茂善仁弁護士(加茂法律事務所、東京都中央区八重洲2-8-7、電話03-3275-3031)が選任された。負債総額は46億7300万円。
明治28年11月創業の老舗橋梁工事会社。「渡良瀬橋」などの有名な橋梁をはじめ日本全国に数多くの鋼橋を建設し、交通インフラの整備を担い、平成4年3月期には売上高296億9697万円を計上していた。しかし、同3年3月には広島新交通システム橋桁落下で市民、関係者15名が死亡する事故を起こし、最近は公共工事の減少で業績が低迷していた。
平成18年3月には多額の債務免除を受けるとともに第三者割当増資を受けて債務超過を解消。これにより状況改善の兆しを見せ売上を伸ばしていたものの、採算性は厳しく同18年3月期から同21年3月期は多額の赤字決算が続いた。同22年12月には懸案となっていた多額の有利子負債の解消を目的に生産拠点の市川工場を売却し、経営のスリム化を図った。
一方で、新たな生産拠点として千葉県袖ヶ浦市に工場を賃借し、設備などの移設を進める計画も持ち上がっていたが、金融機関との調整が不調に終わり、緊急の資金調達を強いられていた。最終的には、今年に入って三田証券(株)(TSR企業コード:291371337、東京都中央区)を割当先とした新株予約権を発行、8月までに全量が行使されたことから総額10億円を調達し、これを設備投資資金に充当するとしていた。
しかし、平成25年3月期の第1四半期までは受注不振の影響と一部工事の進捗の遅れなどで売上高は減少、設計変更対象工事における先行コストの発生および一部工事の採算悪化などに見舞われていた。第2四半期では売上高は前年同期比33.6%増の30億5900万円と伸長したものの、第1四半期の不振影響で営業損失約1億8900万円、経常損失3億1000万円以上を計上し、資金繰りが悪化していた。このため、継続企業の前提に関する注記(GC注記)が付けられていた。その後、10月末の取引業者への支払いに関して話し合いを通じて支払条件を見直す動きを見せていたが、同24年11月末日を期日とする決済資金の資金繰りの目処がつかず、事業継続を断念した。
井笠鉄道(株)(TSR企業コード:720081726、笠岡市笠岡5595-1、設立明治44年7月、資本金1億5,000万円、関藤篤志社長、従業員115名)は11月5日、岡山地裁に破産を申請した。破産管財人は松井健二弁護士(大林・松井法律事務所、岡山市北区蕃山町3-7、電話086-221-0221)。負債総額は32億3600万円。
明治44年7月設立、大正2年11月から鉄道事業を開始して地域交通を担っていたが、昭和46年に鉄道事業を廃止。以降はバス事業を主たる事業とし、岡山県西部から広島県東部地区の乗合バス事業を中心に行ってきた。バス事業としては昭和56年3月期に売上高約22億円を計上していたが、地域人口の減少、自家用車の普及により平成24年3月期には年間乗合輸送人員は213万4000人(ピーク時は昭和43年3月期の1550万人)まで減少した。
同24年5月から事業廃止に向けて協議を開始したが、同24年8月には運転資金の欠乏から従業員への給料遅配が発生、10月12日には中国運輸局岡山運輸支局へバス事業の廃止届を提出し、(株)中国バス(TSR企業コード:722024541、福山市)、北振バス(株)(TSR企業コード:712202722、岡山県矢掛町)、寄島タクシー等へ代替運行を要請、10月31日付で全従業員を解雇していた。
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