(株)プレジール(港区赤坂4-9-25、設立平成13年9月、資本金9695万円、岩本陽二社長、従業員10名)は、6月30日東京地裁から破産手続開始決定を受けた。破産管財人には中根茂夫弁護士(日本橋総合法律事務所、中央区日本橋2-3-21、電話03-3275-1166)が選任された。同社は、今年3月16日に債権者の(株)ローソンエンターメディア(元JASDAQ、6月28日上場廃止、以下LEM社)から東京地裁へ破産を申請されていた。負債総額は144億円。
プレジールは、写真付き切手販売を中核事業とし、切手シートを郵便事業(株)より買い取り、自社で企画・デザインしたスポーツ選手やキャラクターなどの写真付き切手をセット販売するビジネスモデルを確立、同事業で業績を拡大した。平成20年11月に代表が交代し、投資会社(株)ARMOR HOLDINGS(港区、岩本陽二社長)傘下となり、LEM社を主要取引先としてローソン向けフリーペーパーなども取り扱い、同21年3月期の年商は前年の8倍となる年商96億5000万円に伸長していた。
ところが、2月9日(株)ローソンが、連結子会社LEM社の役員2名が社内の正式決定を得ず独断で他社へ債務の肩代わりなど資金流用を行っていたことを発表。ローソンによると、不正行為はコンサート等のチケット販売を巡ってLEM社とプレジール、コンサート企画会社との3社間契約の中で発生、LEM社とコンサート企画会社の間に入ったプレジールに、顧客から受領したチケット代金などの資金をプレジールが流用していたというもの。平成20年10月頃よりプレジールからコンサート企画会社への支払いが遅延したため、LEMの役員2名は社内の正式な決定を得ず、プレジールの債務などを肩代わりし、コンサート企画会社への支払いなどを行っていた。
このため、LEM社はプレジールに対する債権を確実に公正に回収するためとして3月に破産を申請。6月1日には東京地検特捜部がLEM社の元代表取締役専務らを特別背任の疑いで逮捕した。
(株)荒井製作所(堺市中区伏尾722、昭和43年6月、資本金9900万円、荒井孝一社長、従業員325名)は、7月28日大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は田中義信弁護士ほか(田中義信法律事務所、大阪市北区西天満3-7-30、電話06-6316-0348)。負債総額は137億3300万円。
同社は、昭和34年5月に個人創業。プレス板金塗装のほか熱交換器、銅配管部品などの製造を手がけ空調機器関連に利用される各種部品の加工を主力とするほか、家庭日用品・事務用機器などの製造も実施。設計から製造・組立まで一貫して生産できる体制を構築し、大手空調機器メーカーを主体に営業地盤を確立。取引先の要望に応じるため生産設備を増強、国内3工場のほか中国に子会社6社を設立するなど、海外にも生産拠点を構えた。設立以来順調に業容を拡大し、平成12年3月期に年商100億円、同19年3月期には年商200億円を突破する成長をみせ、同21年3月期は過去最高となる年商274億円を計上した。
しかし、拡大路線をとり積極的に設備投資を実施した結果、採算性は低く財務体質の強化が進まない状態となり、外部資金への依存度は高まっていた。平成21年3月期は過去最高の売上を確保したが、輸出入経費が増加したこともあって債務超過寸前となった。同21年7月には取引先より人材を役員として招き入れ、経営の建て直しに着手したほか、同年9月には子会社2社を同社に統合、臨時従業員の大幅削減も実施し諸経費の削減に努めた。
ところが取り巻く環境は依然として厳しく、平成22年3月期は年商216億円に留まり、最終的には5億9610万円の赤字を計上、債務超過に転落することとなった。その後も、大手家電メーカーとの取引を開始したほか、主力得意先から季節変動を抑制した発注を得るなどして資金繰りの軽減を図っていたが、限界に達したことから法的手続を採ることとなった。
住宅サービス(株)(新宿区新宿3-24-1、設立昭和32年10月、資本金4億円、神津和夫社長、従業員55名)は、5月28日に債権者から破産を申し立てられ、7月8日東京地裁から破産手続開始決定を受けた。破産管財人は井原智生弁護士(大原法律事務所、千代田区麹町1-6-2、電話03-3239-1311)。負債総額は約120億円。
同社は、昭和29年4月に練馬区で創業した不動産販売業者。都内西部・千葉・埼玉を営業地盤としてマンション、戸建住宅、ショッピングセンターの開発・分譲・販売を手がけてきた。同59年には聖蹟桜ヶ丘駅前の大型マンション販売で実績をあげ、ピーク時の平成2年12月期は年商約423億円を計上。その後も横浜市や千葉県のマンション開発販売を展開していた。
しかし、バブル経済崩壊後の平成7年頃には不動産市況の悪化を受け債務超過に転落、取引銀行等の債権放棄により債務免除益約56億円を計上し、業績の回復をめざしてきた。ところが、同17年12月期は未だ59億円余りの債務超過状態にあった。同19年頃のマンション販売好調期にはニチモ、アゼル、ゼファーなどのマンションデベロッパーの販売代理業で約4億円の年商を計上していたものの、同20年にはこれらデベロッパーの破綻が相次ぎ、以降販売物件がなくなり厳しい資金繰りに陥っていた。このため不動産管理組合等への支払いが滞り、破産を申し立てられていた。
(株)モリヤ(仙台市宮城野区扇町2-3-28、設立平成1年7月、資本金9900万円、守谷定夫社長、従業員155名)は、7月30日仙台地裁へ民事再生法の適用を申請した。監督委員は吉田幸彦弁護士(吉田法律事務所、仙台市青葉区一番町2-5-22穴吹第19仙台ビル8階)。負債総額は101億9800万円。
同社は、昭和52年8月設立の(有)ヤマモが前身。同年11月に仙台市福田町において生鮮食品スーパー「フレッシュフードモリヤ」1号店を開店。以後、仙台市内で幸町店、今泉店をそれぞれ出店し、平成1年7月には(有)ヤマモの営業部門を分離するかたちで同社を設立した。同6年5月には食品スーパー「スーパービッグ」の1号店を開店。その後も店舗展開を進め、同11年6月期には年商100億円を突破。同14年10月に飲食事業の(株)ファンを、同14年12月には介護事業の(株)ウェルを関連会社として設立するなど事業を多角化、同16年3月からは共同仕入事業を開始した。
店舗展開は状況に応じたスクラップアンドビルドを推進し、不採算店舗になると速やかに閉店してきたが、店舗出店に際しては金融機関からの借入に依存した資金調達が続き、有利子負債は増加傾向にあった。平成19年12月には(株)パワーズフジミ(新潟市/食品スーパーマーケット経営)の全株式を代表者個人が取得してグループ会社化。同20年6月期は、新店舗の売上寄与や共同仕入事業の取扱い増加などから年商約204億円を計上、さらに同21年6月期は店舗売上が若干減収となったものの、共同仕入事業で(株)パワーズフジミのグループ会社化の効果により、ピークとなる年商212億円を計上した。同21年12月には「フレッシュフードモリヤ」一番町店を出店し、「フレッシュフードモリヤ」11店舗、「スーパービッグ」7店舗、「パワーズ」1店舗で仙台圏を中心に合計19店舗を展開、地元資本としては県内上位クラスの食品スーパーへと成長していた。
しかし、開店する新店舗が立地選択のミスによって次々に赤字店舗となり、資金繰りも限界に達したことから自力再建を断念、法的措置の下で再生をめざすこととなった。
東京債権回収(株)(千代田区九段北4-2-1、設立平成10年10月、資本金5億円、上田研一代表、従業員100名)は、7月30日東京地裁へ特別清算を申請した。申請代理人は坂井・三村・相澤法律事務所(港区虎ノ門4-3-13、電話03-6721-3111)。負債総額は約75億円。
同社は、平成11年4月に日本で初めて法務大臣の認可を受けたサービサー(債権回収会社)の1社。銀行および銀行系ノンバンクから不動産担保付不良債権の買取を行うほか、貸金業者および倒産処理に入っている企業の金融債権なども扱い、同19年12月期には年商45億300万円を計上していた。
しかし、資金調達環境の悪化や不動産市況低迷による担保不動産の流動性低下などにより平成20年12月期の年商は41億8500万円に減少。同21年12月期も不良債権の格付、リーマン・ショックなどによる投資家動向の変化により年商は17億6700万円に落ち込み、43億2100万円の最終赤字を計上していた。一時は株式上場をめざして拡大路線を進み積極的に債権の買取を進めたが、リーマン・ショック後、利回りが低下し資金繰りが逼迫した。同時に、規模拡大に伴う社内事務の遅延など、内部統制問題が生じていた。
平成22年1月21日には法務省から内部統制・法令遵守態勢構築の不備などにより、債権管理回収業に関する特別措置法第23条の規定に基づき、業務改善命令が出されていた。これを受け同年2月22日には法務省に業務改善報告書を提出。業務改善に取り組んでいたが業界環境は好転せず、業績回復の見通しも厳しいことから、7月29日の臨時株主総会で解散を決議、このたびの措置に至った。
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