(株)泉精器製作所(松本市笹賀3039、設立昭和19年12月、資本金8億4290万円、泉俊二社長、従業員532名)は、8月24日長野地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には、中村隆次弁護士(長野市県町484-1BOAビル603、中村隆次・田鶴子法律事務所、電話026-235-6677)が選任された。負債総額は161億6700万円。
同社は、昭和14年東京において創業、同20年疎開で当地に工場を移転した。シェーバーを中心とした家電製品、圧着等の電設工具、ブレーカー等の建設機械用アタッチメントなどを手がけ、長い業歴で地区内では圧倒的な知名度を有していた。また、平成9年には「三つ目シェ-バー」に関するアメリカの大手シェーバーメーカー相手の訴訟に勝訴したことでも話題を呼んだ。これ以降、業績は大きく伸展し同14年末にはジャスダックへの株式上場も視野に入れるところとなった。
しかし、景気後退に伴う消費不況と建設業界向けの電設工具、アタッチメント部門共に計画を下回る展開に入った。平成17年、同18年3月期は、減収に加え貸倒引当金への繰入や、減損会計の導入に伴う損金計上、在庫の評価損を原因に赤字を計上。特に同18年3月期は10億円を超える赤字となった。同19年期3月期は増収となったこともあって黒字決算としたものの、同20年3月期は主力の家電製品部門がOEM、自社ブランド物共に落ち込み、これに為替差損が加わり経常段階で赤字。更に監査法人からの指摘により繰延税金資産の取り崩しを行ったことで、再び10億円を超える赤字を計上した。当時、コミットメントライン契約及びシンジケートローン契約による資金調達が資金繰りの中心であっただけに、こうした業績の赤字が今後の資金調達に影響を及ぼすことが心配されたが、取引各行の支援を以って何とか事無きを得た。
その後、平成21年3月期も昨秋以降の世界的な景況の悪化等から下半期に大きく業績を落とし、経常段階で赤字。これに関係会社の株式評価損、減損損失、貸倒引当金への繰入、棚卸資産の評価損等総額約55億円の特別損失を計上し、遂に債務超過という事態に陥った。
くめ・クオリティ・プロダクツ(株)(常陸太田市大里町4137、設立昭和59年9月17日、資本金4000万円、石塚昇一郎社長、従業員230名)は、8月25日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には竹村葉子弁護士(新宿区新宿1-8-5、三宅・今井・池田法律事務所、電話03-3356-5251)が選任された。負債総額は114億5000万円。
同社は、納豆の製造販売を目的に「くめ納豆店」として個人創業。昭和30年には工場を建設し、同47年2月28日資本金300万円をもって(有)くめ納豆店[現:(有)くめ食品工業]を設立。同59年新工場を建設し、同年9月17日同社の販売部門を分離する形で、資本金1000万円をもって(株)くめ納豆店を別途設立。同62年8月18日現在の商号に変更し、代表取締役に石塚昇一郎氏が就任、平成5年7月に製造部門も引き継ぎ、同9年高柿工場を建設し、現在の業容を確立させた。
「くめ納豆」ブランドの知名度を活かして、有力スーパー、百貨店、食品問屋、コンビニエンスストア、生協などに販売ルートを築き、関東を拠点に東北、北海道、関西方面に販売網を拡げて業容を拡大した。ピーク時の平成11年6月期には売上高113億57百万円、当期利益84百万円を計上していた。同17年1月には「テンペ」の製造販売を手掛けるくめ・バイオデリカ(株)を設立し、新商品開発にも意欲を示したが、同19年6月期はTV番組の捏造報道の影響等から結果的には減収となり、同20年8月末日をもって「テンペ」の製造業務から撤退した。近年の、原料大豆・包装資材の調達コスト高騰が続く中、同業他社との販売競争激化で単価面が伸び悩んだことから、仕入価格の見直しに応じる際に支払サイトの延長を仕入先に承知してもらいながら資金繰りを維持してきたが、金融筋支援にも限界が生じ、7月31日事業譲渡先を選定する旨を公表し、法的手続を選択した。
十勝モーターパーク(株)(河西郡更別村弘和477、設立平成1年10月、資本金4億円、植村高志社長、従業員1名)は、8月31日釧路地裁帯広支部に破産手続開始を申し立てた。破産管財人は松浦護弁護士(帯広市東8条南8-13、電話0155-22-4466)。負債総額は105億円。
同社は平成1年10月サーキット場運営会社として設立。帯広建設業協会会員などが中心となり地域活性化の一環としてサーキット施設建設を計画し同3年6月より着工したが、財源となる会員権販売は目標の100億円に対し約10億円と低迷、銀行団は追加融資に難色を示し建設工事中断を余儀なくされた。同4年7月工事請負業者31社が各行より個別に融資を受けるかたちで工事を再開し、同4年10月「十勝インターナショナルスピードウエイ(TIS)」がオープン、N1耐久ラウンドシリーズや全日本ツーリングカー選手権など全日本選手権開催が相次ぎ、同5年12月期売上高はピークとなる2億4767万円を計上した。しかし、その後は赤字運営が続き、同7年2月インターランド(株)を別途設立してレース運営事業を移行し、同社は不動産賃貸業のみの稼動となった。
平成7年12月期以降の売上高は賃貸収入の1200万円となり、「十勝24時間レース」「全日本ママチャリ12時間耐久レース」などが開催されてきたが、当初から賃貸料は未回収となっていた。一方、収益面は工事事業者に対する支払利息や固定資産税などの負担から、慢性的な赤字経営が続き債務超過に陥り、更別村への固定資産税滞納金3億1000万円、延滞利息3億6000万円を内包するなど厳しい運営を強いられていた。こうしたなか国内大手自動車関連企業1社とのTIS無償譲渡交渉を続けてきたが交渉は決裂、同21年3月取締役会は株主総会において会社を整理する方針の承認を受け調査を開始、同年8月取締役会において破産申立が決議され今回の事態に至った。
(生協)道央市民生協(苫小牧市弥生町2-13-5、設立昭和37年11月、払込出資総額82億8634万円、広瀬豊理事長)は、7月31日札幌地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人は佐々木潤弁護士(札幌市中央区南1条西14丁目ワフスわたなべビル7階、電話011-261-6980)。負債総額は82億4000万円。
同社は昭和37年11月に設立された生活協同組合。東胆振、日高、千歳を中心に店舗展開してきたが、過大投資が響き、平成9年3月期決算で経営危機が表面化した。生活協同組合連合会からの資金導入により経営再建を図る中で、同14年3月に(生協)コープさっぽろと事業提携した。これにより単年度での採算を維持できるまでになったが、累積欠損を解消する目処が立たず、同18年3月に営業権を(生協)コープさっぽろに移管した。
以降は、所有不動産の賃貸及び売却を進める中で負債を圧縮してきたが、多額の負債を整理するには至らず、今回の事態となった。
(株)旭カントリー倶楽部(豊田市浅谷町平柴20-1、設立昭和48年4月11日、資本金3億3503万円、諸戸尚視社長)は、8月25日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には佐々木茂弁護士(新宿区市谷薬王寺町8-1、佐々木総合法律事務所、電話03-3359-0825)が選任された。負債総額は70億円。
同社は地元企業の出資を得て昭和48年に法人化、ゴルフ場「旭カントリー倶楽部」(27ホール)を運営していた。ピークの平成5年3月期(その後決算期を12月に変更)に売上13億3800万円を計上していたが、その後はゴルフ人口の減少、同業他社との競合もあって業績は下降路線を辿り、直近の同20年12月期の売上高は4億6100万円まで減少、連続赤字から債務超過に陥っていた。このような苦しい運営もあって預託金の償還は困難となり、民事再生法による再建を図ることになった。
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