弘済事業(株)(台東区上野6-8-8、登記上:千代田区外神田1-17-15、設立平成10年4月、資本金5億円、小柴和彦社長、従業員61名)は、7月30日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員は伊藤尚弁護士(中央区八重洲2-8-7、阿部・井窪・片山法律事務所、電話03-3273-2600)が選任された。負債総額は225億円。
同社は(財)鉄道弘済会の子会社として設立。弘済建物(株)のビル賃貸事業部門及びゴルフ場経営の営業権を買い取り、ビル賃貸のほか「藤代ゴルフ倶楽部」(取手市、18ホール、パー72)の運営を行い、平成14年3月期には年商16億3800万円を計上していた。
しかし、最近は管理物件売却などにより家賃収入は減少。さらにゴルフ場の利用客も伸び悩み、平成20年3月期年商は10億9900万円に落ち込んでいた。同21年3月期もゴルフ場資産の減損処理により158億円の特別損失を計上、債務超過に陥ったうえ関係先の支援も限界となり今回の申立となった。なお同日、(株)アコーディア・ゴルフ(東証1部)が同社のゴルフ場事業の再生支援を行なうことを明らかにした。
なつ運送(株)(高石市高砂2-5、設立昭和49年12月、資本金4800万円、亀山憲史代表清算人)は、6月25日大阪地裁に特別清算手続開始を申し立てた。申立代理人は水谷博昭弁護士(愛知県名古屋市中区丸の内3-5-35弁護士ビル1004、水谷・可児法律事務所、電話052-961-0877)。負債総額は197億円。
同社は重量物運搬業のほか、各種クレーンなどのリース業を展開。ピーク時の平成5年9月期には年商118億2600万円を計上していた。しかし、バブル期に本業外での不動産投資などで負債が膨張。その後の景気悪化を受けて金融債務の返済が困難となった。
このため平成10年には主力事業を別会社へ譲渡し、金融債務の大半となる約250億円が整理回収機構(RCC)に譲渡された。その後、約10年間RCCと債務弁済について交渉を続けていたなか、簿価約200億円の債権は一旦外資系サービサーに債権譲渡され、その後グループ会社が約11億円で買い取った。一方で約2億円の債権を有していた保証協会とあわせ2社が当社の大口の債権者となったことで、特別清算による会社整理が可能な状態になったことから、4月20日株主総会の決議により解散していた。
(株)生産技術(富山市婦中町青島34、設立昭和51年6月、資本金4000万円、堀辺峻雄社長、従業員55名)は、7月9日富山地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は山本一三弁護士(富山市花園町3-5-27、電話076-491-8016)、澤田儀一弁護士、木下実弁護士の3名。 負債総額は145億円。
同社は「北陸生産技術」として個人創業。昭和51年6月法人化し、同56年6月溶接機レンタルを開始。平成4年8月にはロボットレンタルを開始し、同11年10月現在地に移転して業容規模を急速に拡大。富山市内に本社工場を含め10工場を展開し、レンタル機13000台前後、中古機500台前後を保有。レンタル設備の積極的拡充のほか、全国的なPR活動、各方面からの工場見学受け入れなど独自の営業戦略から業績が順調に伸展し、当社公表では同20年5月期で初めて100億超の売上112億5687万円、純利益も6億3500万円をを計上し、過去最高の業績を更新していた。
しかし、平成20年秋以降の世界同時不況による景況悪化からレンタル部門の伸展率が鈍化し、中古品の販売も停滞。また、同年11月締結したシンジケートローンによる資金調達が予定額の60億円より減額の21億円となり、今年6月にも新たなシンジケートローンを模索していたが、計画通り締結できなかった。さらに6月30日付けのシンジケートローン返済予定額の1億円も1日程遅れ、一気に与信低下につながり資金繰り破綻を表面化した。
(株)サザンヤードカントリークラブ(千代田区九段南4-8-30、登記上:東茨城郡城里町下古内776、設立昭和48年2月、資本金3000万円、水野直久社長、従業員3名)は、7月27日水戸地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には飯島章弘弁護士(水戸市千波町1950、あおい法律事務所、電話029-243-0947)が選任された。負債総額は106億円(預託金70億6700万円を含む)。
同社は、平成3年東茨城郡城里町にオープンした18ホールのゴルフ場「サザンヤードカントリークラブ」の土地・建物を所有していたほか、同クラブの運営管理業務を手がけ、ピーク時の平成8年1月期には年商約6億5000万円を計上していた。しかし、その後はクラブ会員約460名の管理業務を主力とし、ゴルフ場の経営に関しては別会社に委託する形態に改めたほか、市況悪化による集客力の低下もあって、同21年1月期の年商は約3億5000万円に留まっていた。
こうしたなか、平成12年に10年間延長した供託金の償還期日が同22年1月に迫っていたが、資金調達の厳しさから償還が困難と判断されたため、今回の措置となった。
(株)讃岐造船鉄工所(香川県三豊市詫間町詫間2112-17、昭和17年2月、資本金1億9587万円、佐文日出夫社長、従業員67名)は、7月29日高松地裁観音寺支部に民事再生手続開始を申し立てたが受理されず、31日破産手続開始を申し立てた。申立代理人は馬場俊夫弁護士(香川県丸亀市本町3-25久保ビル3階、電話番号0877-25-1005)。負債総額は94億円。
同社は明治20年創業の老舗造船建造業者。第二次世界大戦のさなか、昭和17年2月に海務院長官から企業合同の司令を受け、船舶業者が集合し設立されたもの。以降、フェリー旅客船、小型タンカー、砂利採取船など内航船を主力とし、同57年11月期には59億1500万円の年商を上げ、地区中堅に成長した。
しかしその後の造船不況、海外の業者との競合などで単価が低迷し苦戦を強いられた。平成9年、同10年と韓国の経済危機などでやや需要が回復したが、同11年以降は需要低迷から状況が悪化した。同11年11月期には年商が24億4200万円まで落ち込んだことで、過去からのドックなど工場設備投資による負担が重く圧し掛かる格好となり、負債総額約36億円を抱え同12年9月高松地裁観音寺支部に民事再生手続開始を申し立てた。
同13年7月再生計画認可、同年8月再生確定を得て、同16年9月には佐文工業(株)の代表者である佐文社長が第三者割当増資を実施して筆頭株主となり、同社の主導で再生を図った。以後は造船業界の活況もあり、近海船、内航船の新造受注が好調に推移、同20年11月期には近海船4隻の新造が寄与し、年商64億5936万円を計上していたが、平成21年6月不透明な資金操作が発覚、これにより銀行支援が困難となり、7月末の決済の見通しが立たなくなった。
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