麻布建物(株)(港区東麻布1−29−13、設立昭和39年12月、資本金1億円、竹越健二代表)は、6月25日東京地裁に会社更生手続開始を申し立て、8月1日開始決定を受けた。申立代理人は坂井秀行弁護士(港区虎ノ門1−6−12、電話03−3519−8321)。管財人には片山英二弁護士(中央区八重洲2−8−7、電話03−3273−2600)が選任された。負債総額は約5648億円で、8月末現在で今年最大の倒産となった。
同社は創業者である渡辺喜太郎氏が昭和31年8月に設立した(株)麻布小型自動車を前身に、39年12月に麻布自動車産業(株)として設立された。44年頃から不動産業に本格進出し、53年12月に現社名へと変更。麻布建物グループとしてバブル期に積極的な不動産売買を進め、国内外の不動産物件を買収。特にハワイのリゾートホテルなどを次々と所有するなどして話題となり、平成2年5月期には年商678億9700万円をあげていた。また、旧住宅金融専門会社(住専)の大口融資先として知られ、不動産取得にあたり、一時期は住専を中心に1000億円を超える融資を受けていた。
しかし、バブル崩壊後は所有不動産の価格下落などから業績は急激に悪化、資金調達も困難となり債務の大半が整理回収機構(RCC)へと譲渡された。またこの間、渡辺喜太郎社長(当時)が、差し押さえなどの強制執行を逃れるために資産を隠していた強制執行妨害容疑で逮捕され、マスコミなどでも大きく報じられた。
このため、以降は所有不動産の売却をはじめとした債務整理を進め、実質的な営業活動は停止していた。こうした中、昨年にはアメリカの資産について倒産手続(アメリカ合衆国連邦倒産法第11章)を申請、これに伴うかたちで同社は6月に東京地裁へ会社更生手続開始を申し立て、調査期間を経て今回の更生手続開始決定となった。
鷹の巣開発(株)(廿日市市河津原137−2、設立平成1年6月、資本金2000万円、野村光照社長、従業員40名)は、8月3日広島地裁へ民事再生手続開始を申し立て、同日保全命令を受けた。申立代理人は大澤久志弁護士(大澤総合法律事務所、広島市中区白島中町17−3、電話082−228−1118)。負債総額は約127億円。
広島県内では、3月に破産手続開始を申し立てた中国バス(株)の144億円に次いで、8月末現在で今年2番目の大型倒産となった。同社は平成1年6月「鷹の巣ゴルフクラブ」の運営を目的にチチヤスグループの1社としてタカノ巣開発(株)の商号で設立し、野村彰功氏が社長に就任。2年5月現商号に変更。5年8月ゴルフ場をオープン。8年3月野村尊敬氏、13年野村純孝氏が社長に就任。18年1月現社長が就任し、18年8月には(株)良和ハウスグループの(有)イーグルに持株のほとんどを譲渡していた。
県道廿日市〜佐伯線北側の丘陵地約140ヘクタールの用地に18ホール、7060ヤード、パー72の本格的コースを備えた広島県内では屈指のゴルフ場として総額85億円を投下してオープンしたが、当初から予定の会員数を確保できず、事業費の大半を借入金で賄ったため金利負担で経営が悪化して慢性的な赤字経営に陥っていた。
最近も会員数や利用客が伸び悩み、客単価の減少もあって赤字経営が続く中、平成18年12月期には35億円の債務超過に陥り、平成25年に本格化する総額約66億円の預託金返還への対応が困難と判断して今回の措置となった。
トーカイ開発(株)(岐阜市若宮町9−16、設立昭和59年11月、資本金1億円、上田省次社長、従業員61名)は、8月31日に名古屋地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は渡邉和義弁護士(渡邉和義法律事務所、名古屋市中区丸の内3−14−33、電話052−232−5678)ほか5名。負債総額は123億円。
同社は昭和59年11月に、健康生活サービス・調剤薬局事業等を展開する名証2部上場の(株)トーカイと、その全額出資子会社である岐阜南開発(株)の出資により、リゾート開発を目的に設立。昭和62年12月に瑞浪トーカイカントリークラブ、平成4年12月にホワイトピアたかすスキー場、平成10年4月には上宝トーカイカントリークラブをオープンした。
しかし、時代の趨勢から利用者の減少など経営環境は厳しく減収が続き、積極的にリストラを進める一方、親会社からの支援により、平成14年・15年3月期と利益を確保するが、17年3月期は減損会計の適用により大幅な欠損を計上、債務超過の状態に陥った。
以降は何とか利益を確保、平成19年3月期は売上高13億61百万円、当期純利益16百万円を計上するが、会員からの預託金債務残高は110億円にのぼり、弁済の見通しが立たず自力での事業継続を断念した。尚、今後も3施設は営業を継続、両ゴルフ場は(株)アコーディア・ゴルフ(東京都渋谷区・東証1部上場)に事業譲渡する予定で、スキー場も来年までには売却する方向にある。
(株)星の降る里芦別(芦別市黄金町731、設立昭和63年3月、資本金9990万円、末野篤國社長、従業員1名)は7月19日、札幌地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人は桶谷和人弁護士(植物園法律会計事務所、札幌市中央区北2条西10−1−6アーデンコート植物園1401、電話011−210−1201)。負債総額は約75億円。
同社は、石炭産業の斜陽化が進んだ芦別市において地域振興を目的に地元自治体などが出資して設立された第三セクター。かつて石炭の露天掘り鉱山だった場所に小説「赤毛のアン」をモチーフとしたテーマパーク『カナディアンワールド』を建設し、物語の舞台となったカナダ.プリンスエドワード島の町並みをリアルに再現して平成2年7月にオープンした。
開園当初はバブル末期で全国的にもテークパークブームが続いていたことや、「赤毛のアン」をモチーフとした物珍しさもあって相応の集客を有していた。しかしテーマ自体に強い訴求力がなかったことに加え、屋外展示が中心だったことで厳冬期には客足が遠のき、リピーターがほとんど確保できずに入場者数は伸び悩み、平成4年からは冬季間休業に追い込まれた。この後も集客回復の方策を見出せず、設備投資負担や業績低迷から一度も黒字を確保できないまま、平成9年には閉園を余儀なくされた。
この後、残されたテーマパークは市営公園として利用されていたが、閉園に追い込まれたことで返済原資の確保も難しくなるなど、置かれた状況はより厳しさを増していた。このため、事実上の運営母体である芦別市の財政面にも悪影響を与えることになった。平成19年6月には金融機関8行と債務の返済方法見直しに関する調停を行い、金利減免と損失補償契約に基づく分割返済(32億4,000万円/年間3〜7%に設定されていた金利を0.5%とし、今後19年間の分割返済とした。この結果、芦別市の返済額は10億円超軽減される)が認められ、これを踏まえて今回の措置となった。
(株)ビーアンドエフ(世田谷区宮坂3−15−4、設立平成2年7月、資本金7000万円、高橋捷次社長、従業員45名)は、8月24日東京地裁に破産手続開始を申し立て、同日開始決定を受けた。破産管財人は山本卓也弁護士(港区新橋1−18−12、電話03−3593−7605)。負債総額は債権者約580名に対し約54億5000万円。
同社は昭和61年5月創業、平成2年7月に法人化。カラオケボックスの運営などから始まり、7年よりゲームセンター向けにゲーム機器の販売やリース事業に参入。14年からはゲームセンターの運営も開始し、関東、関西地区を中心に「デジャ・ヴー」「キッズランド」などの店名で14店舗を展開。近年はゲームセンターのプロデュース事業にも注力し、18年6月期には年商66億4200万円をあげていた。
ところが、静岡県内の同社店舗がゲームセンター営業に必要な風俗営業の自社手続を行わず、無許可で営業していたとして、8月6日に同社の常務らが風営法違反の疑いにより静岡県警に逮捕された。この事態により金融機関および取引先からの信用を大きく失墜し、資金調達と仕入れが共に困難となったため、8月21日に事業停止し破産手続の準備に入っていた。
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