青山管財(株)(旧・(株)間組、港区虎ノ門2−2−5、設立昭和5年12月、資本金199億305万3000円、間野樹三社長、従業員19名)は4月7日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約1487億円(金融債務約1480億円、その他約7億円)。
同社は元東証1部上場の準大手ゼネコン(株)間組(以下:旧・ハザマ)の分割会社。旧・ハザマは15年10月、「私的整理に関するガイドライン」の手続きに基づく「新生ハザマ3カ年計画」により会社分割を実施。本業の建設部門は新設した(株)間組(以下:新・ハザマ、東証1部上場)が引き継ぎ、旧・ハザマは商号を青山管財(株)に変更、不動産事業に特化し保有資産の処分等を進めてきた。
旧・ハザマはダム工事で定評がある土木名門企業、建築では超高層ビルで実績をあげている準大手ゼネコンだったが、バブル期のゴルフ場開発などに失敗、多額の不良資産を抱え、有利子負債は約4000億円まで膨らんでいた。13年3月主力取引銀行4行から1049億円の債務免除を受け経営再建に努めたが、建設不況の進行から不良資産の処分が進まず、15年に会社分割による再建策を進めてきた。
だが同計画では、18年3月までに新・ハザマ株式を除く資産売却で債務返済する予定で、期限までに完了しない場合は、現預金の範囲内で弁済を行い、残りの金融債務返済については資産処分完了まで猶予を受ける予定だったが、計画通りの弁済はその後の事情変更により困難となっていた。
このため、当初の方針を見直し、所有する新・ハザマ株式を含む全資産を換価し、対象となる債権者に対し計画の趣旨に則った弁済を行なった上で会社を清算することを決定。さらに、訴訟継続中の一般債権者もおり、こうした債権者との訴訟についても継続して対応しつつ会社清算を行なう必要があるため、今回の民事再生手続開始となった。
東京都の第三セクターで臨海副都心地区のビル賃貸事業を手掛ける(株)東京テレポートセンター(江東区有明3−1−25、設立平成1年4月、資本金176億1500万円、齋藤康三社長、従業員82名)と東京臨海副都心建設(株)(同所、設立昭和63年11月、資本金220億円、同社長、従業員2名)、竹芝地域開発(株)(同所、設立昭和62年7月、資本金150億円、同社長、従業員1名)の3社は、過大投資から経営が行き詰まり5月12日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。
申立代理人は浜中善彦弁護士(新宿区四谷4−1、電話03−5919−1236)ほか4名。監督委員には須藤英章弁護士(千代田区麹町3−3、電話03−3265−0691)が選任されている。負債は東京テレポートセンターが約1170億円、東京臨海副都心建設が約1440億円、竹芝地域開発が約1190億円で3社合計約3800億円。
東京テレポートセンターは、平成1年4月東京都の「臨海副都心開発事業化計画」における「東京テレポートタウン」開発構想に基づき、東京都と民間の共同出資による第三セクターとして設立された不動産賃貸会社。主な事業は(1)同社が所有するテレコムセンタービル及び台場、青梅、有明の各フロンティアビル及びニューピア竹芝ノース・サウスタワー等のビル賃貸事業(91.6%)、(2)東京臨海部における共同構、公園、駅前広場などの管理受託(3.2%)、(3)臨海副都心地域に敷設した光ファイバー網を利用した情報通信事業(2.7%)、(4)「東京夢の島マリーナ」の施設管理事業(2.3%)などを行い、平成17年3月期には年商243億600万円をあげていた。
だが、バブル期の過大投資に加え、賃料収入が計画の半分程度にとどまり経営が悪化し平成9年度には債務超過となっていた。平成10年4月より臨海関係第三セクターの経営安定化をはかるため、東京都の指導のもと、同社と東京臨海副都心建設、竹芝地域開発の3社が実質的に統合する10年間の経営安定化策を実行。東京都と金融機関から借入金残高の維持と金利引下げなどの支援を得ていたが、経営状況は改善されず17年9月中間期において減損会計の導入により債務超過額が3社合計で1400億円まで膨らみ、自力での再建が困難となったことから、取引金融機関の債権放棄を求めるため民事再生手続開始を申し立てることになった。
また、東京臨海副都心建設は、東京都の基本計画に基づき、臨海副都心区域内の都市基盤施設整備、都市づくりにおけるモデルビル(フロンティアビル)賃貸等を目的に昭和63年11月に設立。
竹芝地域開発は「竹芝ふ頭再開発事業の基本計画」(昭和60年9月策定)に基づき、老朽化した竹芝ふ頭の再開発、業務施設・商業施設・都市ホテル等都市機能施設の整備・運営等を目的に昭和62年7月に設立されたが、両社も債務超過状態が続き、債務返済が困難となったことから民事再生手続開始を申し立てることになった。
なお、臨海三セクの今後の方針として(1)債権者(金融機関、都など)から債務免除を受けるとともに、減資を行なう。(2)3社は合併して、ビル事業、インフラ管理等を行なう新会社を設立する。(3)都に対して新株を発行して出資(現物出資)を受ける、としている。また、都において持株会社「臨海ホールディングス(仮称)」が設立され、臨海地域にある各監理団体(東京臨海熱供給(株)、(株)ゆりかもめ、(株)東京ビッグサイト、(財)東京港埠頭公社(民営化後))が子会社化する予定で、民事再生手続開始を申し立てた東京テレポートセンターなども経営基盤が強化された段階で子会社化する方針。
三井石炭鉱業(株)(江東区豊洲3−3−3、設立昭和48年8月、資本金25億円、小菅忠男社長)は12月15日開催の株主総会で解散を決議し、12月22日東京地裁へ特別清算手続開始を申し立てた。申立代理人は嵯峨谷厳弁護士(千代田区丸の内2−2−1、電話03−5224−5566)ほか。負債は約1000億円。
同社は昭和48年8月に三井鉱山(株)(江東区、東証1部)の全額出資により、石炭採掘部門を分離独立させるかたちで設立された。明治22年に三井財閥に払い下げられて以降、日本最大規模を誇った福岡県の三井三池炭鉱を主力採掘所として経営。昭和30年8月に公布された「石炭鉱業合理化臨時措置法」に従い、政府の石炭政策に則って旧・通産省の年度計画で取引量が決定される運営がなされてきた。
しかし、エネルギー需要の転換や採掘条件の悪化などから国内炭市況は厳しい環境となり損失計上が続いていた。平成4年の「石炭鉱業構造調整臨時措置法」以降は段階的に他採掘所の閉鎖などを進めてきたが、平成9年3月に三池炭鉱の閉山をもって国内での石炭採掘事業から撤退。同期の売上は400億5900万円にとどまり、累積赤字は893億円にまで膨らんでいた。以降は営業活動を事実上休止して清算業務に入っていた。
こうしたなか、平成15年9月に親会社の三井鉱山とともに産業再生機構の支援が決定、事業再生計画に基づきグループの再編を進めるとともに、同社については引き続き清算業務を進め、解散予定となっていた。
(株)ユニコ・コーポレーション(札幌市西区二十四軒2条4−6−23、設立昭和48年2月、資本金6億5609万9000円、山田洋司社長、従業員89名)は10月25日、東京地裁に会社更生手続開始を申し立て同日保全命令を受けた。保全管理人は永沢徹弁護士(東京都中央区日本橋3−3−14、電話03−3273−1800)。負債は約891億円。
同社は昭和48年2月に設立された総合リース業者。平成7年6月に店頭登録、16年12月ジャスダックに上場した。当初は建設機械の割賦販売を中心にしていたが、その後リース業を加えた。土木建設機械、輸送用機器を主体に自社で開発した仮設ハウスやトイレなど建設関連機器、廃プラスチックリサイクル設備など環境関連機器の割賦販売・リース・レンタルを手掛け、北海道を地盤に仙台、東京、名古屋、大阪、福岡に営業拠点を設置、ピーク時の平成16年12月期には年商345億円をあげていた。17年12月期には年商336億円と売上は減少したものの、税引後利益は4億5900万円と過去最高を記録した。
しかし、今年8月に会計監査法人が18年12月期の中間決算について、過年度の架空取引の計上や期日未到来の利益計上など、不適切な会計処理および内部統制システムの不備を指摘、これを受けジャスダック証券取引所は同社を監理ポストに割当てていた。
同社は9月に入り、中間報告として不適切な会計処理や債権分類の再検証などで約63億円の損失となる「粉飾決算」の実態を公表、16年12月期および17年12月期と2期連続で債務超過となっていたことが明らかとなり、上場廃止基準に抵触する恐れがでていた。
こうした中、約880億円にのぼる融資を受けていた取引金融機関に対し説明会を実施し、役員の刷新および債務超過となった経緯と今後の見通しを説明、借入金元本の3カ月返済猶予などの支援を要請した。だが、急遽、多額の貸倒引当金を積み増すことになった今回の事態に対し、情報開示の消極姿勢など不信感を払拭出来なかったことで金融機関からの十分な協力を得られず会社更生手続開始の申し立てとなった。
高山物産(株)(京都市上京区中立売通千本東入ル丹波屋町360、設立昭和41年8月、資本金9000万円、??山貴一社長、従業員480名)は11月17日、債権者から大阪地裁に会社更生手続開始を申し立てられ同日財産保全管理命令を受け、11月30日会社更生開始決定を受けた。保全管理人は宮崎誠弁護士(大江橋法律事務所大阪事務所、電話06−6341−0461)ほか。負債は約718億4800万円。
同社はパチンコ店などアミューズメント施設の経営会社。昭和60年頃には毎期約20億円の申告所得が公示され、62年には総合レジャー施設「アクアリゾート・ルネスかなざわ」(石川県金沢市高柳町)に約200億円を投下するなど積極的な投資を展開。ピーク時の平成4年7月期には年商1117億3100万円をあげていたが、金融債務は年商を上回る約1200億円に膨らみ財務内容が悪化していた。
さらに、その後は不況と同業との競争激化から売上が低下、18年7月期は年商599億8700万円に落ち込んでいた。この間、遊休不動産や「ルネスかなざわ」の一部不動産を売却して金融債務の圧縮に努めてきたが、その一方で遊技台の入れ替えを中心としたリニューアルを実施しなければならず、思惑通りに金融債務の圧縮を果たせなかった。
そうした中、平成12年1月に取引行の京都みやこ信用金庫が経営破たん、同行の金融債務が(株)整理回収機構(RCC)へ移管され資金調達力が低下。対応策として、今年10月24日に金融債務を対象にした私的整理に入るとしていたが、一部債権者がこれを不服として今回の申立となった。
(株)東栄(所沢市上安松486、設立昭和50年3月、資本金4800万円、武藤力夫社長、従業員6名)は10月3日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は藤勝辰博弁護士(東京都千代田区丸の内2−4−1、電話03−3201−1301)。負債は金融債務を中心に約630億円。
同社は昭和39年11月の創業、50年3月に法人化した不動産賃貸業者。西武池袋線所沢駅周辺にビル、商業施設などを所有し大型量販店などに賃貸、平成18年2月期には年商約18億円をあげていた。しかし、平成7年に発起され平成15年度の都市計画案提出予定であった所沢市日東地区約11ヘクタールの再開発で、核テナントに予定していた大型量販店が出店を辞退したことで計画の大幅見直しを余儀なくされた。そのため、資金計画も狂い、不動産投資にともなう多額の借入負担が経営を圧迫、自力再建が困難な状況から民事再生法による再建を図ることになった。
(株)マコト企業(千代田区神田司町2−13、設立昭和46年2月、資本金9000万円、江原正博社長、従業員2名)は3月10日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約600億円。
同社は昭和46年2月に設立されたビル賃貸業者。設立当初はゴルフ場の管理業務を主体としていたが、昭和50年代より不動産業に進出、旧・住専の日本住宅金融(株)(平成8年解散)などからの借入金により都内各地に賃貸ビルを建設、ピーク時の平成2年1月期には年商277億5900万円をあげていた。
しかし、バブル崩壊、地価下落により保有資産の価値が大幅に下落。1000億円を超える借入返済が事実上困難となり、以降は大幅な赤字経営が続いていた。このため、社有ビルの売却などにより借入金の圧縮に務め、15年期は債務免除を受けるなどで一時的に黒字転換していたが、債務超過状態が続き債務圧縮を進めるため今回の申立となった。
(株)エス・シー・シー(坂東市菅谷2340、設立昭和61年11月、資本金5000万円、深間内正人社長、従業員36名)は7月21日開催の株主総会で解散を決議し、水戸地裁下妻支部へ特別清算手続開始を申し立て、10月6日に開始決定を受けた。代表清算人には清起一郎弁護士(神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎南1−3−10)が就任している。負債は約486億円。
同社は昭和61年11月にゴルフ場運営を目的に設立、平成10年11月に表記地に7008ヤード、コースレート72.9、パー72のチャンピオンコース「猿島カントリー倶楽部」を開場した。開業当初は林間コースで醍醐味を味わえるゴルフ場として話題を集め、各種コンペ企画など独自の営業戦略により首都圏を中心に利用客を確保、17年3月期には年商5億4800万円をあげていた。しかし、多大な開発費が経営を圧迫して業績も低迷したことで17年12月に東京都渋谷区道玄坂1−21−2を本社地とする(株)猿島カントリーに会社分割、当社は清算する手続きとした。
柴田栄興産(株)(名古屋市中区栄3−32−26、設立昭和22年8月、資本金2億4100万円、柴田洋治郎社長)と関連会社の栄柴田開発(株)(同所、設立昭和47年4月、資本金2000万円、同社長)の両社は5月29日、名古屋地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人は渥美裕資弁護士(名古屋市中区丸の内3−19−1、電話052−961−8670)。負債は柴田栄興産が債権者113名に対し473億4868万円、栄柴田開発が債権者5名に対し65億1714万円。
柴田栄興産は昭和22年8月に六合建築(株)として設立され、24年9月六合建設(株)に商号変更、その後平成5年10月六合栄興産(株)に、9年6月現商号に変更した。バブル期に入り不動産デベロッパーとして事業を拡大、ピーク時の平成4年3月期には年商443億7500万円をあげていたが、借入も多額にのぼり負債は575億円に達していた。
そのため、平成5年10月建設部門を六合建設(株)(旧・六合ホーム(株)、同所、設立平成4年3月、資本金1億円)に譲渡、同時に社名を六合栄興産に変更して、借入の処理作業を進めてきた。そうした中、債権者200である金融機関の損失処理決着の意味合いもあり今回の措置となった。
栄柴田開発は旧商号が六合開発(株)で平成9年に現商号に変更した。旧・六合建設グループの不動産開発に係る土地買い付けを手掛けていたが、バブル崩壊後は購入不動産が塩漬けとなり、借入返済は進まず債務超過に陥っていた。なお、負債のうち約15億円は柴田栄興産への債務。
日新開発(株)(西宮市松原町4−5、設立昭和38年3月、資本金3000万円、山口亮社長)と関連会社の越水商事(株)(同所、設立昭和39年12月、資本金1000万円、同社長)は11月10日、神戸地裁尼崎支部に特別清算手続開始を申し立て11月14日開始決定を受けた。両社ともに10月21日開催の株主総会で解散を決議していた。申立代理人は大沼順子弁護士(大阪市北区西天満4−4−13、電話06−6364−4114)。負債は日新開発が約471億2000万円、越水商事が約64億1000万円。
日新開発は昭和38年3月に中堅ゼネコンの(株)新井組(西宮市)の不動産事業を担当する関連会社として設立された。生駒鹿の台(生駒市)、西宮名塩平成の杜(西宮市)などの宅地分譲やパークサイド香露園(西宮市)、ノヴェル芦屋川(芦屋市)などのマンション分譲を手掛け、ピーク時の平成7年6月期には年商約106億7300万円をあげていた。
しかし、損益はピーク時を含めて赤字基調で推移していたうえ、地価の下落に伴い所有不動産が不良債権化、その償却を実施した14年12月期には単年度で362億円もの赤字を計上、以後は親会社の直接支援を受けて資産処分・資金回収を進めていた。
そうした中、14年8月に新井組が主力行から総額640億円の債務免除を受けることとなり、その際に策定した「経営改善計画」に基づき、14年12月他の連結子会社4社とともに株式と債権を越水商事(株)に譲渡され新井組グループから外れていた。その後も越水商事のもとで資産処分を続け、17年12月期は年商6億7400万円、債務超過は420億3100万円にのぼっていた。
越水商事は新井組の元非連結子会社で、損害保険代理業などを手掛けていたが、14年9月に新井組グループから外れ、日新開発と同様に資産処分を進めていた。
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