(株)リバティーエステート(旧・(株)日交総本社、品川区八潮3−2−34、設立平成14年5月、資本金6380万円、小野紘一清算人)は、昨年11月30日開催の株主総会で解散を決議、東京地裁に特別清算手続開始を申し立て1月10日開始決定を受けた。負債は約397億円。
同社は平成14年設立の不動産管理業者。タクシー・ハイヤー大手の日本交通(株)(品川区)及び同グループが所有する不動産管理を目的に昭和59年に設立された旧・日交総本社(平成14年5月解散)を母体とする。旧・日交総本社は日本交通を主たるテナントとして不動産管理業を展開するほか、バブル期には所有不動産の再開発やホテルの経営など積極的な不動産投資を行い、ピーク時には約60億円の営業収益をあげていた。
しかし、バブル崩壊に伴う不動産市況低迷により多額の有利子負債が経営の重荷となり、14年5月グループ内で業態の重なる日本交通グループ会社の日交興業(株)、(株)ナベックスと合併し、本社物件などの管理業務に特化する新たな(株)日交総本社として法人化されていた。その後新会社で経営建て直しを図っていたが、17年5月期の営業収益は23億5500万円にとどまり、100億7100万円の当期赤字を計上して大幅な債務超過に転落。不良資産処理を進めるため17年11月29日付けで(株)日交総本社から現商号に変更し特別清算手続開始を申し立てた。
(株)マリンエキスプレス(宮崎市港3−14、登記上:東京都中央区八丁堀2−30−13、設立平成2年8月、資本金20億4000万円、黒木政典代表)は株主総会で解散を決議、昨年12月27日東京地裁に特別清算手続開始を申し立て、12月28日開始決定を受けた。負債は約351億2100万円。
同社は平成2年8月日本長期信用銀行(現・新生銀行)の融資先だった日本カーフェリー(株)の事業を引き継ぐ形で(株)シーコムフェリーとして設立され、平成4年10月に現商号に変更した。
宮崎港、日向港を基点にした定期船を運航、主要航路の宮崎〜川崎を結ぶ京浜航路や宮崎〜大阪を結ぶ関西航路は、宮崎産の農畜産物の輸送路として重要な役割を担い、平成7年3月期には年商175億5900万円をあげていた。
しかし、利用者の低迷などから設立以来、赤字体質から脱却出来なかったうえ、平成17年3月期は年商63億6200万円に落ち込み累積赤字は約330億円にまで膨らんでいた。また、最近の原油価格高騰から燃料コストが上昇、収益の悪化に歯止めがかからず昨年6月には京浜航路の定期船を運休するなど、不採算路線の運航休止や従業員削減など経費圧縮に努めていた。
こうした中、平成16年4月に関連会社として宮崎カーフェリー(株)(宮崎市)を設立するとともに関西航路などの事業の一部を営業譲渡。同社は清算手続に入り保有船の売却や日向ターミナルの跡地を日向市へ無償譲渡するなどの整理を進めていた。
日本工業(株)(京都市左京区上高野仲町2−2、設立昭和36年9月、資本金50億円、大山進社長)は、昨年11月18日整理回収機構(RCC)より京都地裁に破産手続開始を申し立てられ、12月21日開始決定を受けた。負債は約333億円。
同社は昭和36年9月に設立された総合建設業者。バブル期には公共工事や大型開発などで急成長を遂げ、平成3年7月期には年商427億3700万円をあげる京都府では最大手の建設業者に成長した。
しかし、バブル崩壊後は業況が急転、8年7月期は年商80億3500万円にまで落ち込み、旧・住宅金融専門会社や金融機関からの多額の借入が財務を圧迫、平成11年には整理回収機構から貸付金約380億円の返還を求めて提訴され、翌12年には事実上業務を休止していた。
ベルネット(株)(千代田区一ツ橋1−1−1、設立平成1年9月、資本金29億8387万円、山根康嗣社長、従業員59名)は、1月23日東京地裁に破産手続開始を申し立て25日開始決定を受けた。負債は債権者185名に対し約271億7400万円。
同社は平成1年に設立された電気通信機器の設置工事業者。LAN配線や電話設備及びコンピュータ機器・PBXの設置工事を主体に、システム開発や通信機器の販売、IP電話事業へも参入。12年以降には、SIPを中核としたインターネットマルチメディア情報通信事業に進出、国内外へ積極的な投資を行い関連会社化を図っていた。また、ベンチャーキャピタルや独自で出資先を募るほか、上場企業との事業提携を積極的に行い業容を急拡大。一時は上場を視野に入れ、平成8年3月期には約3億4000万円だった年商を16年3月期には約236億円まで伸ばした。
しかし、100億円超もの海外投資や設備投資が収益を大きく圧迫。さらに、得意先からの受注の減少に加え会計基準変更に伴う売上計上方法の変更もあり、17年3月期の年商は139億2700万円まで低下、棚卸資産評価損や投資損失引当等で約30億円の特損を計上した結果、約46億7700万円の最終赤字を計上し経営は急速に悪化した。
17年4月以降、多額の借入金の返済時期が一部集中し、予定していたIPOの時期が遅れるなど資金繰りが多忙となり信用性は低下。こうした中、事業支援先を模索しながら資産売却などで立て直しを図っていたが、多額な金融債務がネックとなり今回の措置となった。
藤和興産(株)(京都市中京区富小路通御池上ル守山町168、登記上:大阪市鶴見区今津中2−5−2、設立昭和32年6月、資本金2000万円、柄本憲秀清算人)とグループ会社の(株)日ノ岡(京都市中京区蛸薬師通烏丸東入一蓮社町293、登記上:大阪市鶴見区今津中2−5−2、設立昭和29年2月、資本金6400万円、池田親二清算人)の両社は昨年12月9日、大阪地裁に破産手続開始を申し立て、12月14日開始決定を受けた。負債は藤和興産が約252億円、日ノ岡が約78億円。
藤和興産(旧・(株)トーカン、平成10年10月商号変更)は京都市内を中心にホテル、旅館を経営、ピーク時の平成2年7月期には年商5億2000万円をあげていた。しかし、同年5月に多額の資金を投入してオープンした「ロイヤルオークホテル」(滋賀県大津市)の経営が軌道に乗らず、資金固定から急速に財務内容が悪化。そのため、社有不動産の売却や事業の縮小で経営を維持してきたが、先行きの見通しも立たず今回の措置となった。
グループ会社の日ノ岡(旧・(株)ロイヤルビル、平成10年10月商号変更)は、藤和興産が経営するホテル内でスポーツ施設を運営するほか、京都市内でスポーツクラブを経営、平成4年1月期には年商4000万円をあげていた。しかし、バブル景気崩壊後は業績不振と金融債務の負担が経営を圧迫していた。
両社は平成10年11月開催の株主総会で解散を決議、清算業務を進める中で17年6月登記地を京都市中京区より大阪市鶴見区に移し破産手続開始を申し立てた。
関連サービス
人気記事ランキング
「戸建住宅」メーカー115社 増収増益 3年連続増収も、減益企業は半数に
全国の主要戸建メーカー、ハウスビルダー115社の2023年度決算(2023年4月期-2024年3月期)は、売上高8兆1,214億円(前年度比3.8%増)、利益4,728億円(同17.8%増)と増収増益だった。 2023年度の新設住宅着工戸数(持家+分譲戸建、国交省)は、前年度から1割減(9.9%減)の35万3,237戸にとどまった。
2
2024年の「早期・希望退職」募集1万人が目前 上場企業53社、人数非公開の大型募集相次ぐ
2024年1月から11月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は53社(前年同期36社)で、前年同期の約1.5倍のペースで推移している。集計の対象人員は、9,219人(同2,915人)と3倍に増加し、すでに2023年の年間社数、人数を上回った。
3
2024年1-10月「後継者難」倒産396件 後継者不在が深刻、年間最多の500件も視野
代表者の高齢化など、後継者不在による倒産が増勢をたどっている。10月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は49件(前年同月比32.4%増)発生し、1-10月の累計は396件(前年同期比10.3%増)と1-10月の最多を更新した。
4
「雇用調整助成金」の不正受給公表が累計1,446件 全国ワーストは愛知県、年商を上回る不正受給は31社
全国の労働局が10月31日までに公表した「雇用調整助成金」(以下、雇調金)等の不正受給件数が、2020年4月から累計1,446件に達したことがわかった。不正受給総額は463億7,025万円にのぼる。2024年10月公表は35件で、4月(23件)に次いで今年2番目の低水準だった。
5
船井電機「破産開始」への対抗、天文学的な成功率
船井電機(株)(TSR企業コード:697425274)の破産手続きが混沌としている。10月24日に東京地裁へ準自己破産を申請し同日、開始決定を受けた船井電機の破産手続きに対抗する動きが明らかになった。