(株)吉年(TSR企業コード:570220467、法人番号:8120101034043、河内長野市上原西町16-1、設立昭和19年1月、資本金5500万円、吉年正守社長)は7月14日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は佐賀寛厚弁護士(きっかわ法律事務所、大阪市北区堂島浜1-4-16、電話06-6346-2983)ほか11名。負債総額は約58億5400万円。
河内・丹南地区は鋳物の生産地として知られ、鋳物師発祥の地として伝えられており、当社は河内鋳物師の流れを継ぎ、江戸時代中期の享保3年(1718年)に創業。ガス、水道用等の管継手、自動車、車輌部品等の一般可鍛鋳鉄部品パイプ切断加工を行い、大手商社や販売代理店を中心に販路を築き、ピークとなる平成3年11月期には売上高94億831万円を計上した。
しかし、需要低迷や市況悪化による単価下落で業績は伸び悩み、逐次リストラを行い、採算を維持してきた。金融機関との協議を重ねながら業績回復に努めたが、十分な成果をあげられず、28年11月期は売上高が約39億2500万円に落ち込み、約2億3700万円の赤字となった。以降も業況は改善せず、限界に達し今回の措置となった。なお、7月14日付で東証1部上場の共英製鋼(株)(TSR企業コード:570054028、法人番号:5120001062898、大阪市北区)と事業再生支援を目的とするスポンサー基本合意を締結している。
(株)ゴルフスタジアム(TSR企業コード:296139424、法人番号:1010401085225、豊島区南大塚2-11-10、登記上:港区浜松町1-7-3、設立平成16年9月、資本金5100万2500円、堀新社長)は7月21日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には島田敏雄弁護士(LM法律事務所、千代田区永田町2-11-1、電話03-6206-1348)が選任された。
負債総額は約56億6200万円。このうち、1153名のレッスンプロらに対する広告料債権額推計36億7747万円にのぼる。
ゴルフレッスンプロやゴルフ練習場の運営業者向けWEBサイトの制作、管理を主体に、ゴルフ予約サイトの運営やゴルフスクールなどを手がけていた。ここ数年は、会員向け格安ゴルフチケット提供の「ごるチケ!」やレッスンプロ向けWEBサイト制作などで業績を伸ばし、28年8月期の売上高は30億1177万円をあげていた。
最近はレッスンプロら向けにホームページ作成請負とゴルフスイング解析ソフトなどを、信販会社とのクレジット払いを通じて販売する一方、ソフト代金とほぼ同額を広告料として支払う契約を結び、顧客を増やしていた。
ところが、29年2月に資金繰り悪化を理由に突然、レッスンプロらに対する広告料支払いがストップ。同年4月にソフト購入代金のクレジット返済が残るレッスンプロなどが、「ゴルフスタジアム被害者を守る会」を結成していた。
トラブルの報道が相次ぐ一方、5月には大手通信会社から起こされた売買代金請求訴訟で敗訴。6月中旬に本社をバーチャルオフィスの現所在地に移転していた。
こうしたなか6月27日、ゴルフレッスンプロらが結成したゴルフスタジアム被害者を守る会有志18名から東京地裁に破産を申し立てられ、今回の措置となった。
ゴルフスタジアム被害者を守る会の弁護団は、「ゴルフスタジアムが財産を関連会社や子会社などに流出させている疑いがある。広告料債権の弁済に充てられる財産を確保するほか、ゴルフスタジアム経営陣の責任を追及していくため今回、破産を申し立てた」と説明している。
(株)酒井製作所(TSR企業コード:400661586、法人番号:5180001006461、名古屋市港区西茶屋4-147、設立昭和44年10月、資本金2000万円、酒井明夫社長)は7月3日、名古屋地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には西脇明典弁護士(西脇法律事務所、名古屋市中区錦1-20-8、電話052-232-3760)が選任された。負債総額は約55億1000万円。
地元に本社を置く大手自動車メーカーの二次サプライヤーとして、ライトやワイパーのレバーコンビネーションスイッチ部品などの電装部品の製造および組み付けを手掛けていた。平成19年10月には第2工場開設に大型の設備投資を行ったが、その後はリーマン・ショックの影響を受け、借入金の返済負担が重くのしかかっていた。
以降は、技術力や販路に支えられ、自動車業界の復調とともに売上高も伸長し、ピークとなる25年9月期には約54億5600万円の売上高を計上した。しかし、厳しい受注単価や人件費などの負担、工場開設に伴う借入金の返済負担から余裕を欠く資金繰りが続いていた。
(株)ほくおうサービス(TSR企業コード:010578250、法人番号:1430001027808、札幌市西区八軒1条西1-3-15、設立平成14年3月、資本金2億3000万円、矢内大介社長)と、グループ4社は7月14日、札幌地裁に破産を申請した。申請代理人は神戸俊昭弁護士(弁護士法人神戸・万字・福田法律事務所、同市中央区南1条西11、電話011-241-7770)。負債はほくおうサービスが9億7100万円で、5社合計で約43億3400万円。 ほくおうサービスは、介護施設の運営業者。19年7月に帯広地区でグループホームを運営するほか、給食・介護事業などのグループ会社を設立し事業を拡大した。25年1月には持株会社として(株)ほくおうホールディングスを設立し、各社の株式を委譲した。
ほくおうグループとして、札幌市を中心に旭川市や江別市などで、グループホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅などの介護事業を展開。介護保険制度の導入などを追い風として拡大を続けていた。しかし、最近年は同業者の参入により競合が激化したことに加え、介護報酬の引き下げや人手不足による人件費高騰などで業績が悪化。28年3月期の売上高は27億6872万円に対して4億8325万円の赤字をとなった。また、グループ会社も赤字に転落するなど厳しい経営状態が続き、今回の措置となった。
なお、ほくおうサービスおよび4社の事業は、(株)創生事業団(TSR企業コード:870494953、法人番号:9290001018995、福岡市中央区)へ譲渡する予定となっている。 同時に破産申請したグループ4社は以下の通り。
(株)ほくおうホールディングス(TSR企業コード:300067402、法人番号:6010401103964、札幌市西区)、負債総額約30億5200万円。
(株)ほくおうケアサービス(TSR企業コード:012176770、法人番号:3430001038241、札幌市西区、介護事業および福祉用具販売)、同約1億6700万円。
(株)福寿草(TSR企業コード:082018561、法人番号:7460101004211、帯広市、グループホーム運営)、同約9200万円。
(株)ほっとキッチン(TSR企業コード:012159328、法人番号:8430001043179、江別市、グループ向け給食提供)、同約5200万円。
青森駅前再開発ビル(株)(TSR企業コード:182003230、法人番号:6420001000034、青森市新町1-3-7、設立平成4年4月、資本金10億3000万円、代表清算人:鈴木規央弁護士)は7月5日、青森地裁へ特別清算を申請した。負債総額は約32億700万円。
青森駅前第二地区第一種市街地再開発事業の一環として、青森市の第三セクター方式で当社を設立。平成13年1月、総事業費184億6000万円を投じて複合商業施設「フェスティバルシティ・アウガ」をオープンした。地下1階には従前当地に所在した「駅前市場」の各店舗等が入居した「新鮮市場」、1階から4階までは商業施設、5階と6階が「青森市男女共同参画プラザ・カダール」、6階から9階が「青森市民図書館」で構成。コンパクトシティのモデルケースとして全国的にも注目され、当初は若者を中心に賑わいを見せていた。
その後は次第に当初計画の甘さが目立ち、売上は予定を大きく下回り、オープン後の初年度となる平成14年2月期は約2億5200万円の赤字となった。その後も郊外への大型店進出等から来客数は徐々に減少、多額の負債を抱え厳しい経営が続いたため、22年2月期中には青森市が5億6000万円の増資を引き受けたほか2億円を融資し、乗り切った。しかし23年3月、新青森駅開業によりさらに業況は悪化。28年3月期(決算期変更)の売上高は4億9457万円にとどまり、減損会計による特別損失計上もあって26億8898万円の赤字になり、一気に債務超過へ転落した。
責任を取る形で、当時の青森市長が28年10月に辞職。同年11月に新市長がフェスティバルシティ・アウガの公共化を図るため、29年1月31日に約17億5000万円の債権を放棄する方針を示した。また、2月28日には1階から4階のショッピングフロアの全店を閉鎖し3月31日、株主総会の決議により解散し、清算の準備を進めていた。
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