AIJ事件で年金営業を担当していたアイティーエム証券(株)(TSR企業コード:294996494、中央区日本橋本石町4-4-9、設立平成10年6月、資本金15億9050万円、小菅康一社長)は6月12日、債権者より東京地裁に破産を申し立てられ6月28日、破産開始決定を受けた。破産管財人には坂井秀行弁護士(坂井・三村・相澤法律事務所、港区虎ノ門4-3-13、電話03-6721-3111)が選任された。負債総額は1416億円。2013年では、カブトデコム(株)(TSR企業コード:010016090、札幌市西区、4月特別清算開始決定、負債総額約5061億円)に次いで2番目の大型倒産となった。
アイティーエム証券は、元・山一證券出身の西村前社長が元同僚らと旗揚げした独立系の証券会社。平成10年8月に、証券ディーリング免許と同ブローカー免許を取得し、その後、金融システム改革の流れの中で、証券会社が免許制から登録制に変更されたことを受け、同10年12月に大蔵省関東財務局に証券会社として登録。銀行の貸し渋りに悩む上場会社などを対象に、海外の会社を活用した私募の形で、転換社債の発行による資金調達の提案を行い、ピーク時の同21年3月期は20億800万円の営業収益を計上していた。
機関投資家向けにファンド組成事業なども手がけ、AIJ投資顧問(株)(現:(株)MARU、TSR企業コード:292919441、中央区)の年金投資契約を請け負っていた。平成24年2月、AIJが約1850億円にのぼる企業年金資産の大半を消失させていた一連の問題発覚により関東財務局から同24年3月23日から9月22日まで業務停止命令を受けてからは、事実上の営業を停止していた。同24年3月期の営業収益は4億200万円に落ち込み、2億6600万円の最終赤字を計上。同24年8月10日には金融庁から登録取り消しの行政処分を受けていた。
こうしたなか、大手信託銀行6社が被害者である年金基金への返済原資を確保するため東京地裁に破産を申請していた。
一般財団法人広島県農林振興センター(TSR企業コード:740478850、広島市中区大手町4-2-16、設立昭和40年4月、小原辰男理事長)は6月3日、広島地裁へ民事再生法の適用を申請した。負債総額は468億2800万円。
広島県の全額出資により設立された県造林公社が前身。山林地権者と契約を結んだ山林にヒノキやスギを植えて育成、その木材を販売して収益を配分する「分収造林事業」で、広島県と日本政策金融公庫から資金を借り入れて、事業を続けていた。しかし、国産材の価格下落で収支が悪化し、同事業による赤字が累積したことから借入金が膨らみ、事業を継続しても債務返済のめどが立たないと判断。平成24年12月5日の広島県議会で、25年度中に民事再生法の適用を申請することが明らかになっていた。
(株)ウエストワンズ(TSR企業コード:660519593、加東市上三草1136-67、登記上:大阪府池田市上池田1-8-16、設立平成5年4月、資本金1000万円、荒木進社長、従業員27名)は6月28日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には苗村博子弁護士(弁護士法人苗村法律事務所、大阪市北区西天満2-6-8、電話06-4709-1170)が選任された。負債総額は約264億円(平成24年3月期決算時点)。
ゴルフ場「ウエストワンズカンツリー倶楽部」の経営母体。全18ホール・7077ヤード、ゴルフコースアーティストの名匠ピート・ダイが設計したアメリカンスタイルを取り入れたコースで、プロのツアーも行われていた。ピーク時の平成13年3月期には売上高約7億2900万円を計上していた。
しかし、接待に利用する法人顧客の落ち込みと、入場者数の低迷等で減収傾向が続き、平成24年3月期の売上高は4億4829万円に縮小。赤字計上を繰り返し、同24年3月期決算時点で24億6500万円の債務超過に陥っていた。同19年以降、コース等の不動産に地元自治体からの差押登記がされたほか、会員からの預託金が220億円にも膨らみ、返還請求に対応できない状態だった。このため出資企業等からの借入金により資金を繰り回していたが、支え切れなかった。
(株)インデックス(TSR企業コード:294286861、世田谷区太子堂4-1-1、設立平成7年9月、資本金393億7946万円、落合善美社長)は6月27日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には長島良成弁護士(長島良成法律事務所、千代田区五番町5、電話03-5276-1321)が選任された。負債総額は債権者524名に対して246億253万円。
携帯電話を中心とした端末向けのゲーム企画・開発・配信を主力事業としていた。設立当初はモバイルコンテンツ配信サービスを行い、アニメ制作会社や通信関連機器メーカーなどの株式を取得し子会社化しながら業容を拡大した。平成13年3月に店頭市場に登録、同16年12月にジャスダック市場に株式を上場した。ピークとなる同16年8月期には年商124億7485万円を計上していた。同18年11月には「女神転生」「ペルソナ」などのゲーム制作会社(株)アトラス(TSR企業コード:641167598、世田谷区、同22年10月にインデックスが吸収合併)を子会社化するなど、連結・非連結・関係会社を合わせて100社以上を抱えた。しかしその後、グループの再編・統合を行うなかで持ち株会社となり、同22年8月期には年商8億2300万円に対し、減損処理や株式市場の落ち込みによる有価証券評価損で136億6300万円の赤字を計上した。
平成22年9月には、インデックスが参加していた中小企業振興ネットワークを築いていた旧:日本振興銀行(TSR企業コード:299000370、千代田区)が破綻したことで、当社の投融資の多くが回収不能となった。同22年10月には(株)アトラスを吸収合併したことで事業会社となり、同23年8月期年商は117億6400万円を計上したが、9億8300万円の赤字で5期連続の欠損を計上した。同25年8月期第2四半期には債務超過に陥り、継続企業の前提(GC)に関して注記がついた。また金融商品取引法による期限(同25年4月15日)直後に提出を確認された第2四半期決算だが、記載されている前年度(同24年8月期)連結貸借対照表の資産にある繰延税金資産とその他有価証券評価差額金について、一部会計処理に誤っている可能性(過年度決算修正の可能性)があるとして、同法に基づく監査法人による四半期レビュー手続実施中。期日までに四半期報告書を提出できる見込みがない旨の開示を行ったため、大証から株式の監理銘柄(確認中)の指定を受けた(4月16日、四半期報告書提出により4月17日に指定解除)。
6月12日には金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑で、証券取引等監視委員会の調査を受けていた。
(株)K&A(TSR企業コード:402883551、名古屋市中村区名駅南1-17-23、設立平成21年11月、資本金5000万円、安藤勇都社長)は6月13日、東京地裁に破産を申請し6月24日、破産開始決定を受けた。負債総額は90億円。
投資コンサルティング会社。K&Aグループとして東京、神戸等にも拠点を置き、海外投資・ベンチャー育成事業、出版事業等を展開、企業や個人を対象に高利回りを特徴とした社債の販売等を行っていた。ただ、最近では配当や解約を巡るトラブルも発生していたとされ、動向が注目されていた。
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