全国企業倒産状況
2023年11月の全国企業倒産807件
11月の企業倒産 20カ月連続で増加、事業継続への「諦め」が増える
2023年11月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が807件(前年同月比38.8%増)、負債総額は948億7,100万円(同17.9%減)だった。
件数は、2022年4月から20カ月連続で前年同月を上回った。807件は3月の809件に次ぐ、今年2番目の水準で、11月としては2013年(862件)以来、10年ぶりに800件台に乗せた。
負債総額は、2月(965億8,000万円)以来、9カ月ぶりに1,000億円を下回った。最大の大型倒産が負債39億円の(株)有明清算(東京)で、負債10億円以上が21件(前年同月17件)と前年同月を上回ったが、負債1億円未満が624件(構成比77.3%)と小・零細規模を中心に推移した。
「新型コロナウイルス」関連倒産は、253件(前年同月比18.2%増)で、2023年1-11月累計は2,877件(前年同期比40.4%増)に達した。
政府は「資金繰りから事業再生」に向けた支援策を打ち出すが、事業規模が小規模で支援からこぼれる企業も少なくない。年末から年度末を控え、業績回復が遅れ、新たな資金調達も難しい企業を中心に、企業倒産は増勢を強めていくとみられる。
・形態別件数:破産が736件。法的倒産の構成比は96.9%
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが33都道府県、減少10県、同数4県
・負債別件数:負債1億円未満の構成比77.3%、100億円以上は3カ月ぶりに発生なし
・業種別件数:印刷・同関連業、織物・衣服・身の回り品小売業などが増加
・従業員数別件数:従業員10人未満の構成比89.4%、6カ月連続で80%台
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)の構成比は2カ月ぶりに100.0%
◇倒産データ分析:https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html
産業別 10産業のうち、7産業で前年同月を上回る
2023年11月の産業別件数は、10産業のうち、7産業で前年同月を上回った。
最多はサービス業他の296件(前年同月比66.2%増)で、15カ月連続で前年同月を上回り、今年最多になった。月次倒産に占める構成比は36.6%(前年同月30.6%)だった。
次いで、人手不足に加え、資材価格の高止まりが続く建設業が145件(前年同月比46.4%増)で11カ月連続、実質賃金の低下が続くなかで消費動向の推移が注目される小売業が98件(同55.5%増)で7カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
このほか、製造業が95件(同37.6%増)で16カ月連続、情報通信業が26件(同4.0%増)で14カ月連続、卸売業86件(同16.2%増)と金融・保険業2件(前年同月1件)が2カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。一方、不動産業が22件(前年同月比4.3%減)で14カ月ぶり、運輸業が28件(同6.6%減)で6カ月ぶり、農・林・漁・鉱業が9件(同52.6%減)で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
地区別 北陸を除く、8地区で前年同月を上回る
2023年11月の地区別件数は、9地区のうち、北陸を除く8地区で前年同月を上回った。
関東293件(前年同月比26.2%増)が、2022年5月より19カ月連続で前年同月を上回った。このほか、近畿226件(同59.1%増)が12カ月連続、中部98件(同40.0%増)と中国39件(同50.0%増)が7カ月連続、四国16件(同60.0%増)が6カ月連続、北海道20件(同42.8%増)が2カ月連続、東北31件(同34.7%増)と九州68件(同41.6%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
北陸は16件で、前年同月と同件数だった。
※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
1.(株)有明清算/東京都/ミニチュアミュージアム運営/39億円/破産
2.(株)ヤマコン/愛知県/海藻類加工品製造、昆布・若布ほか卸/23億円/破産
3.セブン(株)/東京都/着火器具製造販売/22億3,500万円/特別清算
4.音羽印刷(株)/東京都/印刷業/19億3,300万円/取引停止処分
5.(株)エフ・エフ・アルファ/東京都/飲食店経営ほか/18億7,900万円/民事再生法