2024年1-10月「後継者難」倒産396件 後継者不在が深刻、年間最多の500件も視野
2024年1-10月の「後継者難」倒産
代表者の高齢化など、後継者不在による倒産が増勢をたどっている。10月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は49件(前年同月比32.4%増)発生し、1-10月の累計は396件(前年同期比10.3%増)と1-10月の最多を更新した。このペースをたどると、年間最多の2023年(430件)を超える可能性が高い。
396件の内訳は、代表者の「死亡」が217件(同34.7%増)で最も多く、次いで、「体調不良」が132件(同3.6%減)で、この2要因で349件(同17.1%増)と、9割近く(88.1%)に達する。事業承継や後継者の育成の遅れは、事業継続に大きなリスクになりかねない。
産業別は、最多は建設業の93件(前年同期比8.1%増)で、職人不足や後継者育成の遅れが深刻さを増している。
資本金別は、1千万円未満が241件で6割(構成比60.8%)を超えた。
負債額別は、1億円未満が263件(前年同期比1.8%減)と微減だったが、1億円以上は133件(同46.1%増)と中堅以上で増加に転じ、対照的となった。
11月に調査した2024年「後継者不在率」調査では、「後継者不在率」が62.15%(前年61.09%)に上昇した。代表者の年代別の「後継者不在率」は、60代47.88%、70歳代31.64%、80歳以上23.96%と、70代でも約3社に1社が後継者がいない状況にある。
コロナ禍から経済活動は平時に戻ったが、物価高や人手不足に加え、金融機関の金利引き上げなど、経営環境は大きく変化している。こうした状況で、経営者は事業承継や後継者育成だけでなく、廃業を含めた判断も求められる可能性もある。
※本調査は「人手不足」関連倒産(後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)から、2024年(1-10月)の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)を抽出し、分析した。