2024年度の「中古車販売店」倒産、1.4倍増の98件 小・零細販売店が押し上げ、負債は過去最大に膨らむ
2024年度「中古自動車小売業」倒産動向
2024年度の「中古車販売店」倒産は98件(前年度比38.0%増)で、前年度の約1.4倍に増えた。2011年度の104件に次ぐ、13年ぶりの高水準となったが、小・零細販売店の苦境が浮かび上がってきた。
負債は、旧ビッグモーターの(株)BALM(負債831億円)が押し上げ、過去最大の891億6,400万円に膨らんだ。
2024年度の倒産原因は、最多が「販売不振」の81件(構成比82.6%)だった。また、負債1億円未満が82件(同83.6%)、従業員数5人未満が87件(同88.7%)と、小・零細規模の事業者が販売不振で行き詰まっている。同業との競合に加え、仕入価格が高騰し、その余波を財務内容が脆弱な小・零細販売店が被って市場から退出を迫られた構図が浮かび上がる。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会によると、中古車登録台数(普通車)は2023年が310万3,739台(前年比2.1%増)、2024年が319万7,837台(同3.0%増)で増えている。コロナ禍は、半導体不足で新車納期が遅延し、中古車需要が盛り上がったが、コロナ禍が落ち着いても割安感のある中古車ニーズは底堅いものがある。また、買い手への積極的な情報提供や支払総額の義務化、車体整備の適切な説明など、これまで問題視されていた慣習が旧ビッグモーター事件を契機に改善され、中古車市場の健全化を後押しすることも期待される。
ただ、新車販売価格の上昇に加え、耐久性や品質向上で中古車価格も上昇している。また、電気自動車の普及やユーザーの収入伸び悩み、国内人口の減少なども視野に入れることが必要で、個人市場を主なターゲットにする中古車販売店は正念場を迎えている。
※本調査は、日本標準産業分類の「中古自動車小売業」の負債総額1,000万円以上の倒産を集計、分析した。
・原因別は、「販売不振」が81件(構成比82.6%)で最多。次いで、「事業上の失敗」6件、「既往のシワ寄せ」と代表者死亡などの「その他」が各4件で続く。
・形態別は、「破産」91件(同92.8%)が9割超を占めた。再建型の「民事再生法」は3件だった。
・負債額別は、「1千万円以上5千万円未満」が62件(同63.2%)で最多。「5千万円以上1億円未満」が20件で続き、1億円未満が合計82件(同83.6%)で8割を超えた。一方、5億円以上は2件にとどまった。
・従業員数別は、「5人未満」が87件(同88.7%)で9割に迫る。「5人以上10人未満」が10件、「10人以上20人未満」が1件で続き、20人以上は発生しなかった。
・都道府県別では、東京が9件で最多。神奈川と福岡が各8件、埼玉と愛知、大阪が各7件で続く。