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船井電機の民事再生、「元従業員の雇用が必要」 ~申請人の原田義昭氏が会見~

 船井電機(株)(TSRコード:697425274)の民事再生法の申請人である原田義昭氏(登記上・代表取締役)は3月6日15時過ぎより、都内で会見した。会見には申請代理人の北出貴志弁護士(弁護士法人原田国際法律事務所東京京橋事務所)らが同席した。

 破産手続き中の船井電機は、破産開始決定の取り消しを求める抗告と、事業継続を目指す民事再生法の申請が同時進行していたが、東京高裁は2月13日、抗告を許可しないことを決定している。
 こうしたなか、船井電機の民事再生手続きの調査期日である2月28日を迎え、動向が注目されていた。
 原田氏らは、破産申立の抗告不許可に対する見解と主張、再生計画の骨子に関する概要を説明した。
 原田氏は、「破産管財人による管理の下、データを完全に収集できない状況だが、民事再生について全力をあげて進めたい」と述べた。


会見する原田氏(中央)と北出弁護士(右)
会見する原田氏(中央)と北出弁護士(右)

会見の要旨は以下の通り。
 ①連結決算を採用する企業集団の破産の判断は連結企業集団全体をみるべきである。商流の調整により、連結企業集団間の負債は意図的に増やすこともできるため、個別の1社のみで債務超過を判断するべきではない。

 ②破産制度は連結会計に対応しておらず整備が遅れている。船井電機の債務超過の判断(資産の評価)には子会社株式の評価が必須であるにも関わらず、これを無視しており、取締役による準自己破産申立は制限されるべきである。

 ③蓄電器事業、自然冷媒事業など新たな事業基盤を立案しており、再生に向けた議論を進めている。

 ④民事再生について、調査委員へ再生案の骨子、資料などを提出済み。今後、調査委員により裁判所へ意見が提出され、それを踏まえ、裁判所が民事再生手続開始決定の可否を判断する見込み。


その後、質疑応答を経て16時30分頃に会見は終了した。

主な質疑応答は以下の通り。
 Q.再生計画の概要について
 A.再生に向けて、エクイティで約130億円の調達を行うこととする。内、70億円は、2月21日に意向表明書をいただいている。残りは、上場企業を含む複数社から出資をいただく方向で交渉を進めている。そのほか、「AV事業」の売却や保有不動産の売却により約100億円を調達する。その後、123億円の債務を弁済し、新たな事業を行う基盤を構築する。

 Q.資金以外の従業員や技術などのリソースは確保できるのか
 A. 元従業員の雇用のほか、外部との協業が必要だ。できる限りオートメーション化する計画だ。

 Q.民事再生が通らなかった場合の対応は
 A.裁判所の決定に従うしかない。ただ、(船井電機は)多くの投資家から応援されており、とにかく再生することが大切だ。

 Q.前取締役による準自己破産について。
  「破産法上の要件を欠いており無効」とこれまで主張していた点の振り返りは
 A.社内の内部の話であって、なかなか接触できなかった。今こだわるべき話ではなく、民事再生を前に進めることが大事だ。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年3月10日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)


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