東日本大震災から14年 「震災」関連倒産2,064件 2024年は初めて20件を下回る、4年ぶりに前年比減
「東日本大震災」関連倒産(2月28日現在)
2011年3月11日。未曽有の被害をもたらした東日本大震災から14年を迎える。多くの人命を奪った震災は、震源地の東北から関東、北海道の広い範囲に被害をもたらし、経済活動への影響は全国に及んだ。
現在も震災の影響を直接、間接に引きずる企業は多い。震災が一因の関連倒産は、2021年から3年連続で20件台をたどったが、2024年は16件と初めて10件台に落ち着いた。ただ、2025年は2月に4件発生するなど、まだ収束には至っていない。2025年2月までの関連倒産は累計2,064件にのぼる。
「震災」関連倒産は、震災のあった2011年に544件発生した。その後も2012年490件、2013年333件と高水準で推移したが、2014年は175件に減少し、2022年まで逓減傾向を示していた。
2023年は前年を6件上回り、底打ち気配をみせたが、2024年は16件と初めて20件を下回った。
被災企業は、直接的な被害に加え、売上減少や風評被害などの間接的な影響が長引いた。さらに震災からの立て直しで債務が膨らんだところに、2020年以降はコロナ禍、物価高や人件費高騰も重なり、苦境に直面して行き詰まるケースが多い。
2025年度は、政府が復興の総仕上げを目指す「第2期復興・創生期間」の最終年度にあたる。インフラなどハード面の計画は概ね完了したが、原発災害の被災地域では、事故の収束や帰還・移住の促進など、中長期的な対応が残されている。また、被災地の岩手県大船渡市では2月末から山林火災が発生し、住民の避難や漁業など産業への影響が復興の足かせにもなりかねない。
地元経済の活性化は、雇用や地域復興に欠かせないだけに、被災地を支える地元企業、産業に寄り添った支援が求められる。
東日本大震災の関連倒産 累計2,064件
都道府県別では、最多は東京の594件。次いで、宮城224件、福島99件、岩手97件、北海道85件、茨城84件、神奈川83件、千葉77件、福岡71件、栃木64件と、島根を除いた46都道府県に広がる。なお、被災地域にあたる東北6県の合計は526件(構成比25.4%)で、4分の1にとどまる。
産業別では、サービス業他の541件(同26.2%)が最多。このうち、宿泊業126件と飲食店97件が4割(同41.2%)を占める。次いで、製造業484件(同23.4%)、卸売業381件(同18.4%)、建設業235件(同11.3%)、小売業196件(同9.4%)、運輸業88件、情報通信業67件、不動産業39件、農・林・漁・鉱業30件、金融・保険業3件の順。
形態別では、最多が破産の1,531件で、7割(同74.0%)を超える。再建型の民事再生法と会社更生法は計155件(同7.5%)にとどまり、約8割が再建を断念した。