設立10年未満の「合同会社」は業績好調 売上高1億円未満が約9割、高い成長持続
2024年「設立10年未満合同会社」業績動向調査
「合同会社」の新設法人数が毎年、増え続けている。 2023年は4万655社(前期比9.6%増)で初めて4万社を超えた。2024年も1‐10月までに判明分で約3万7,000社に達し、前年を超えるのは確実だ。
設立10年未満の合同会社3,148社を分析すると、2024年度の売上高は3,229億100万円(前期比32.9%増)、利益は131億3,300万円(同319.1%増)と大幅に伸長し、2期連続で増収増益を達成したことがわかった。
増収企業は全体の半数の1,634社(構成比51.9%)だった。また、売上高が2倍以上伸長した企業は166社(同5.3%)にのぼり、一部の企業は急成長を遂げている。
東京商工リサーチ(TSR)は、全国の設立10年未満の合同会社3,148社を対象に、業績動向を調査した。3,148社の売上高は、10億円以上が21社(構成比0.6%)と1%に満たない一方、1億円未満が2,740社(同87.0%)と9割近くを占め、小・零細規模が圧倒的に多い。
合同会社は、設立コストが安く、株主総会の開催や決算公告も必要ない。また、出資者が会社の業務を行うため意思決定が速いメリットがある。このため、グーグルやアマゾンジャパンなど、有力な外資系日本法人なども合同会社を選んでいる。
ただ、資本金1億円以上は5社(構成比0.1%)にとどまり、資産背景の乏しい企業が多いことも特徴の一つになっている。
合同会社は、株式会社と比べ信用面で課題を残している。今後も合同会社の増加が予想されており、安定成長には信用と資金面をどのようにクリアするかがポイントになっている。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から、設立10年未満の合同会社を対象に、2024年の業績(2023年12月~2024年11月期)を最新期として、3期連続で業績が判明した3,148社を抽出、分析した。
売上高は増加傾向が続く
設立10年未満の合同会社3,148社の2024年の売上高は、3,229億100万円(前期比32.9%増)、最終利益合計は131億3,300万円(同319.1%増)だった。売上高は毎年20%超の伸び率をたどっている。2024年度の利益は、一部企業のけん引で大幅に伸長した。ただ、利益率は4.0%にとどまった。
売上高別では、1億円未満の2,740社(構成比87.0%)が最も多かった。次いで、1億円以上5億円未満の351社(同11.1%)、5億円以上10億円未満の36社(同1.1%)と続く。
売上高5億円未満が大半(同98.1%)を占め、売上高10億円以上は21社(同0.6%)にとどまった。設立10年未満で売上高10億円以上の急成長企業はごく少数にとどまる。
2024年度の売上高は、増収が1,634社(構成比51.9%)に対し、減収は1,014社(同32.2%)、横ばいが500社(同15.8%)だった。
資本金別 1千万円未満が9割超
資本金別は、最多が1百~1千万円未満の2,026社(構成比64.3%)だった。次いで、1百万円未満の1,037社(同32.9%)、1~5千万未満の69社(構成比2.1%)と続く。
資本金1千万円未満が大半(同97.4%)を占めた。資本金1千万円以上は79社(同2.5%)にとどまり、資産背景に乏しい企業も少なくない。
産業別 サービス業が3割超
設立10年未満の合同会社を産業別に分析した。
産業別では、小資本でも設立しやすいサービス業他が最多の1,205社(構成比38.2%)だった。次いで、建設業の757社(同24.0%)、不動産業の374社(同11.8%)と続く。一方、運輸業は27社(同0.8%)、金融・保険業は42社(同1.3%)、農・林・漁・鉱業は67社(同2.1%)にとどまった。
初期投資や法規制が比較的緩やかなサービス業他に新規参入が集中する傾向があり、産業別で大きな差が開いた。
設立10年未満の合同会社の本社地を地区別に分析した。トップは、関東の1,051社(構成比33.3%)、次いで、九州の522社(同16.5%)、近畿の402社(同12.7%)と続く。
人や情報が集まる大都市圏で設立が目立つ。一方、最も少なかったのは、北陸の59社(同1.8%)で、次いで、四国の154社(同4.8%)、北海道178社(同5.6%)の順。