10月の「物価高」倒産45件で、今年2番目の少なさ 不安定な為替推移のなかで増勢に転じる可能性も
2024年10月 「物価高」倒産状況
日本銀行の政策金利引き上げもあり、7月以降、円高が進んだが、再び円安に転じている。10月後半から外国為替相場は1ドル=152円台で推移し、その影響もあってか物価高が収まる気配はうかがえない。
こうした中、10月の「物価高」倒産は45件(前年同月比21.0%減)にとどまり、6月と並んで今年2番目の低水準だった。特に、8月以降は3カ月連続で40件台で推移し、「物価高」倒産は一服している。
負債総額は100億2,600万円(同34.0%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。
「物価高」倒産の産業別は、最多が建設業の12件(前年同月比9.0%増)。以下、製造業10件(同37.5%減)、運輸業9件(同10.0%減)の順。建設業と運輸業は2024年4月に時間外労働時間の上限規制が適用された。ただ、業界として価格交渉が進捗している運輸業は、人件費や燃料代が高止まりするが倒産は減少した。一方、価格交渉が容易でない建設業は増加し、明暗を分けた。
負債額別は、1億円未満が25件(前年同月比±0.0%、構成比55.5%)。形態別は、破産が40件(同9.0%減、同88.8%)で大半を占めた。
「物価高」倒産は、3カ月連続で前年同月を下回り、小康状態が続く。だが、物価が落ち着くには中・長期的な為替の安定が求められ、相当な時間を要する。この間、賃上げや金利上昇などコストプッシュが見込まれるだけに、収益改善への取り組みがカギになっている。
※本調査は、2024年10月の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。