2024年度の「人手不足」倒産 過去最多の283件 賃上げムードのなか、「人件費高騰」が106件に倍増
2024年度(4-2月)の「人手不足」関連倒産
2024年度(4-2月)の「人手不足」に起因する倒産が、過去最多の283件(前年同期比88.6%増)に達したことがわかった。転職市場が活況を呈し、物価高も加速するなかで、人手不足と人件費上昇が顕著になっているが、2024年度の「人手不足」倒産は4-11月で年度最多の2023年度の192件を超えている。
大企業を中心に賃上げ報道が相次ぐが、中小企業の「人件費高騰」による倒産は106件(同103.8%増)と倍増している。人材確保と賃上げには適切な価格転嫁が欠かせないだけに、環境整備への強力な指導力が必要だ。
「人手不足」関連倒産は、産業別では通所・短期入所介護事業(8件)、訪問介護事業(7件)などのサービス業他が86件(前年同期比68.6%増)で最も多い。
「人手不足」関連倒産は、中小・零細企業が中心で、身の丈を超えた賃上げは資金繰り悪化に直結する。しかし、賃上げをしなければ、従業員の新規採用や退職阻止、待遇改善が難しい。物価高を背景に、企業規模による賃金格差がさらに拡大する可能性も高まっている。
※本調査は、2024年(2024年4月-2025年2月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。(注・後継者難は対象から除く)